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2009年8月

2009年8月19日 (水)

コミケにて出会うこと思うこと

コミケット76は無事に終了。 
参加の皆様、お疲れ様でした。 
まずはお越しいただいた方々に御礼申し上げます。 
お蔭様で僕のヤマト本は予想以上に人の手に渡り、 
ようやっと寄稿者へのお礼の席が設けられるだけの利益を生むことが出来ました。 
利益の話を先に出しておいて恐縮ですが、 
ヤマトの同人誌は寄稿者に原稿料をお支払いしていません。 
「ヤマトが好きだから」という気持ちを主体にした厚意で成立している本であって、 
好きな人が気持ちを寄せて作って、それが同好の人の手に渡るだけが大事な本です。 
否定的な意味で言うならば、 
二次創作で貪欲に利益を追求して、それで暴利を貪るような姿勢を快しとしません。 
原典への愛情と敬意を失わず、大人の楽しみとたしなみを忘れない範囲でそれを作り、 
売価は、印刷原価と僕の同人サークルの認知度を鑑みながら、低廉で届けられるよう決定しています。 
もし利益が出たのならば 
それは忙しい最中にご寄稿いただいた方々と 
ヤマトを語らい、親交を温める場としてのこじんまりとした 
でも礼を尽くした宴席に費やし、 
僕の手元には残すことをしません。 
もちろん原典の著作者に返せという論理もありましょう。 
もし原著作者を宴席にお呼びできるような環境ならそれもしたいと考えます。 
(寄稿者もとても喜ぶでしょう) 
しかし僕の非力ゆえにそれが叶わない中で 
好きな人と好きな人をつなぐ機会を作れたということがきっと 
作品の未来をつなぐものになるということに自負と期待をもっています。 
そしてファンジンっていうものは、書き手にとっても読み手にとっても 
そもそもこういう幸せな場であったはずであり、 
こういう在り方が今もあって良いんだと、 
僕は思いたいです。 

西館本部の周知ポスターは 
思いのほか堅実な扱いで、貼ってあるのを探すのが楽しみな感じの掲示でしたが、 
でも大きな自分の絵を見るのは、不思議にどきどきでした。 
画稿料のでる仕事ではありませんゆえ、本部の方々も当日は気をつかってくださって、 
そのご厚意はとても嬉しく感じております。 
執筆時に担当者様のおっぱいへのこだわりに深く共鳴いたしまして、 
良い絵にできたと思います。 

会場では多くのお仲間にも、読者の方にもお会いできました。 
感想や励ましは漫画家にとって何よりの栄養剤で、 
特に僕のようにどうも本誌では人気がなさそうな者にとっては、心の救いでもあります。 
差し入れに忍ばせてファンレターをもってきてくださった方もいて、 
しかもそれが くうたんの形に工作してあるのを後で気づき、大感激! 
差し入れのお菓子も、お手製のくうたんクッキー! 
クッキーは食べちゃいますが、手紙は多分一生の宝物です。 
今も手にしては遅れ気味の原稿を進める励みにしています。 
お仲間への挨拶回りで買い物は殆どしないままでしたが、 
とても楽しい時間を過ごせました。 

夜は恒例になった漫画家・野上武志さんの打ち上げ大宴会。 
美味しい中華に紹興酒もたっぷりいただきました。 
途中からストライク・ウィッチーズの高村監督もご来臨になって、 大サイン大会に。 
さっそくに僕も監督からサインをせしめたりして。 


楽しく心温まる1日でありました。

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2009年8月13日 (木)

ヴァンパイア来たる

感想文はデスマス調ではなく、デアル調なのをご了解くだされたし。

溜まった新聞の切抜きを月頭にしていたとき、
朝日新聞の紙内紙というのか「GLOBE」という企画紙面のコラムに
「いまどきの吸血鬼が映し出す米国社会」という文があった。
タイトルはこのようについているのだが、
吸血鬼とアメリカの社会相との結びつきが、
ほんの3行くらいしか触れられておらず、
酷くお粗末な切り口の内容だった。
ニューヨーク在住というこの執筆者は
翻訳が本来の仕事らしいのだが、
この内容ではライターとしては日本で食べていけないだろう。
海外にいるというバリューだけが重宝されているのではと思ってしまう。
一応編集者として文章で生活している方々の原稿を見てきた自分の、
とても素直な印象。
それはさておき、この記事の本質はつまり社会を写し掘り下げることじゃなくて、
著者が得意な本屋めぐりから、
アメリカ国内のブックランキングの紹介をするというもの。(それだけ)

で、フィクション部門でのベスト10内に
バンパイア小説が3冊も入っていますよ。
ということで、その内容が平明というより平板に説明されている。
つまり、吸血鬼とかホラーとか特に好きでもなんでもない人の文章。
読むことのドキドキとかこだわりとか何も伝わらない。
まぁ毎回違うジャンルをわたるらしいので、そんなものなのだろう。
そしてランキングに3冊も入ることの理由が3行。
>一説によれば、アメリカでの昨今のヴァンパイア人気は60年代後半の反体制運動に端を発しているという。
これだけ。
つまりタイトルに絡むコアの部分が出典も定かでない「一説」で済まされる。
いやまぁ、この筆者へ不満を募らせるためじゃないので、軌道修正すると、
60年代の反体制運動ってのは何よというのが
2000年代を生きる読者には必要であって、
それを考えるとベトナム戦争への反対運動、特に学生を中心とした流れから、
カウンターカルチャーとしての既成文化への批判と先鋭的模索を打ち出し、
それがロックや映画に表現の場を見出していく。
「イージー・ライダー」なんて音楽と映像とそしてあのやんちゃな内容といい、
まさにその体現だ。
これらをアメリカン・ニューシネマという思潮と見る。
文学の思潮としてもパラダイムの転換を促すものがある中で、
ヴァンパイアを疫病や悪鬼として捉えることとは逆の視線をもって
見られるようになった。
で、このヴァンパイアにおける転換点とは結局何なのかと思うと、
60年代に青春期をおくったアン=ライス女史の
「夜明けのヴァンパイア」(73年脱稿)なのだろうと僕は思う。
映画「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」の原作である。
ここまでの内容は、僕らの世代ではありていの話題だし、
少し調べれば簡単に転がっている。
でも、「GLOBE」の記事はここすら踏み込まない。
実はこの記事を読む前に
友人の環望ちゃんと昨今のアメリカでの
ヴァンパイア・ロマンス小説やドラマの隆盛について話したばかりだった。
彼との会話はライス女史の作品と萩尾望都の「ポーの一族」の
近似性についてや、著者間の後日談、
映画やTVドラマの傾向など微に入り細に入り、豊かで楽しいものだったので、
新聞の記事を余計に貧相に感じてしまったのだろう。

と、ここまでが前置きだったりする。
実は環ノンちゃんと会ったのは、
知人から映画の試写のお誘いを受けたからだった。
その映画は「30Days of Night」。
http://www.30days-night.jp/

30


コミック原作にしてサム=ライミ製作のヴァンパイア映画だと知り、
ならばと、ヴァンパイア漫画を絶賛連載中の環ノンちゃんにも、声をかけたというわけ。
自分的にはヘルツォーク監督の「ノスフェラトゥ」を10代のときに観てしまって、
二日ほど怖くて眠れなかったことがあるけれど、
「30days~」は、そうした伝統的な疫病や悪鬼としての要素を残しつつ、
淫蕩な部分は削り、現代的なアプローチをもって、
人間の上位に立つ圧倒的な異種により
本能と享楽に直結した殺戮をおこなう狩場に定められてしまった、
30日間太陽の昇らない極寒の街と人の悲劇を、
徹頭徹尾残酷に描いていく。
とはいっても「ミスト」ほど人間性への問いかけはない。
細かく見ると突っ込みどころもある。
しかしそんな筋道がこの映画にどれだけ力を与えるというのか。
周到で狡猾な狩りの惨状と、連綿と綴られる追われる者のあがき。
それでいいんだ。
窮鼠が決起した最後の反撃も
生還した者に決して勝利の美酒をもたらしはしないところが
さすが、サム=ライミ好みというところ。
(本人も監督をしたかったが多忙ゆえ叶わなかったそうだ)
実はOLが好みそうなベタベタしたバンパイア・ロマンスには
辟易していたので、
種としての獣性の根を忘れない猛々しい本作は、
まさにカウンターパンチであり、清々しかった。
恐ろしく、残酷で、そして陰惨。
忘れられていた(無視されていた)正統の力を持つ。
そして構図と色が美しい。
くすんだ陽の光を背景に黒い棺桶のようにたたずむ艦船、
吸血鬼の襲撃に修羅場と化す街の俯瞰、
彩度を抑えた銀色の深み、
先日公開されていた「スタートレック」もそうだったけれど、
こうした絵心のあるシーンに触れるだけで
映画の中に惹きこまれてしまう。

そして環望ちゃんとのもう一つの話題は
彼のヴァンパイア漫画「ダンス イン ザ ヴァンパイア バンド」のアニメ化決定。
一見、甘美な要素が目立つようだけど
ヴァンパイアもワーウルフも 種として業を負った骨太なお話だし、
その意味で、しっかりとした正統の香りを持つ。
ストーリィ構成には原作者本人がかなりアドバイスしているようで、
放映が今から楽しみ。
スタッフもなかなかに錚々たる感じ。
http://www.vampirebund.com/
夏のコミケは西館だし、MFブースのプロモーションを見に行こうかな。
そういえば彼自身も「ダンス~」の同人誌を出すそうだ。
そちらは東館なので難しいかも。(東ク17a)

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2009年8月10日 (月)

幻冬舎版と連載中の「虚数霊」について

現在、メディアファクトリーの月刊コミックフラッパーで連載をしています拙作「虚数霊」は、
掲載において原則、新作原稿を寄せることで編集部との確認ができており、
旧・幻冬舎コミックス版とは異なる、まったく新しい内容で綴っています。
ですが旧版と設定や世界観など引き継ぐものとしても構築をしてあります。

04年に打ち切りに近い形で連載を停止し、
状況によっては再開という言葉をもらいつつも、
実際は電話一つないまま5年の間放置され、
今年、一身上の都合で大きく身辺の整理をする状況になった折、
絶版と契約解除を幻冬舎に申し出ました。
その後、幸運にもフラッパー編集部よりお仕事の話が舞い込み、
しかも「虚数霊」を掲載してはどうかとの意向でした。
本作の継続を強く望んでいた自分にとって実に嬉しい言葉でした。

ただそのままの続きというわけにはいきませんし、
第1話については唐突感を避けるためにも
新たに描き起こしの必要が生じることになります。
旧版では、編集部の意向が連載なのか読みきりなのかの判断も曖昧なまま
なし崩しで1話の執筆に入ることになり、
種々の設定やシーンを切削して、限られた誌面に押し込んでしまった経緯があり、
演出的も絵的にも満足の低い形になってしまい、自分には大きな心残りがありました。
ゆえに今回の新第1話は願っても無い自作へのリベンジの機会と受け取り、
当初の構想内容をきちんと盛り込み、また詰め込みすぎた設定は後段に割り振るよう
バランスをもって執筆しました。
なのでフラッパー版こそ02年に執筆した1話のもっとも忠実な状態であると言えます。
実際、旧版の2話以降の話も、この新版の1話で読み解いた方が、
状況や台詞の意が伝わりやすいはずです。
(というのも旧版連載時に、僕が勘違いして元来の1話の設定で続きを描いてしまったから)

そのこともあって、現在のフラッパー誌での連載を単行本にまとめる際には
旧版の原稿も加えた形で物語を統合しようと考えています。(旧1話のみ除外します)
そうすることで理想的な合一が図れると思うからです。
ただ5年の間に生じた絵的な違いなどもありますゆえ、
旧作の原稿には大幅な加筆訂正を(地味に)いたします。
よって、旧版掲載時の原稿で読めるのは
幻冬舎版コミックスのみになります。
絶版にはしましたが、流通在庫に関しては販売を続けるという話になっており、
ネット書店を除けば、
丸善・御茶ノ水店のコミックスコーナーなど一部書店がご厚意で、
ある程度の在庫を持ってくださっていますので、手に入ります。
以前の原稿での表現に興味にある方は、当該書店までお問い合わせください。

なお同じく幻冬舎から刊行しています「Ringlet」も同様に絶版にしています。
こちらは再刊の予定もありませんので、
今後も入手できるのは幻冬舎版のみとなります。
こちらも前述の書店さんで在庫を確保してくださっています。

Ringlet_cover9_1_3 

少々紛らわしい事情ですが、どうぞよろしくご理解のほどを。

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2009年8月 8日 (土)

夏のコミケット参加について

コミックマーケット76に参加をいたします。

自分のサークル「むらかわみちお党」では
8月16日(日曜日)西館 さ-10b
での出展です。
頒布物は、コミケットでは初売りの宇宙戦艦ヤマトのファンジン
YAMATO reactivate

Top

A4変形(オフセット)92頁 表紙は3色刷り、本文(カラー+モノクロ)
価格2000円
内容はイラスト+対談+コラム記事+漫画からなります。

イラストの主な執筆者は希有馬、玉盛順一朗、出渕裕、カサハラテツロー、大本海図、
速水螺旋人、工藤稜、環望、あびゅうきょ、樹崎聖、むらかわみちお ほか

対談は出渕裕×樋口真嗣「ヤマトを今、自分で作るならこうする」

コラムは氷川竜介、小牧雅伸

漫画は小川雅史、西川伸司、むらかわみちお
(以上敬称略)

Top2_2

Top3

これまで作ってきたヤマトの同人誌の総決算的な盛り沢山な内容になっています。
もうしばらくはこうした本は作りません。作れません。
(春のCOMIC1☆3、ヤマトパーティ2009で頒布したものと同じです)

そのほかに寄稿したサークルは
金曜日 東 A-09a  「日本晴
「神のみぞ知るセカイ」本
(こちらではYAMATO reactivateを委託します)

日曜日 東 シ-38abFirstspear
野上武志「蒼海の世紀vol.8」

日曜日 東 ケ-32a
松田未来さんの「UW-2-5」では記事のエディトリアルをしています。
絵は描いてません。

また、西館設営本部関係のポスターを描きました。
次回申込書などご購入の際には是非ご覧ください。

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公式のwebというかblogをスタートさせました。

これまで兼業で漫画を描いてきましたことと、htmlでの画面表現と作業の不自由さも感じて、
自分ではwebの運営・更新など無理だろうと思っておりました。
ですがwebサービス環境の変化や、
なにより自分が今更ながら専業の漫画家として活動をしていくことになった手前、
オフィシャルに情報を明示していく必要があることを感じて、
友人達の助けもあり、ここに公式のwebを開設いたします。
連載漫画の執筆作業に入ってしまうと3週間以上、身動きとれない忙しさになってしまうので、
頻繁な更新は望めないかもしれませんが、
活動報告をはじめ、日々の雑感などを記していこうと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

Photo

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