単行本作業完了
先ほど全部の原稿を仕上げました。
最後は切り貼りという昔ながらの手法でコマを差し替えて完成。
あとは担当編集に手渡しするのみ。
「虚数霊」は旧版のエピソードを収録することもあり
手にとってもらうために必要なバリュを
ちゃんと付加しないといけないと思っていました。
なのでフラッパー誌連載分も含めて大幅な加筆・補筆をしてあります。
トーン処理の追加のみならず
演出的に必要と思われるシーンを膨らませる頁増もあれば、
多くのカットで表情を微修正してあります。
特に旧版の原稿はかなり手を入れて
現在のドラマと絵柄に齟齬がないようにしました。
(それでも差は残りますが)
旧版や今の連載を既読の方でも
新味をもって手にしてもらえると思っています。
今回、特に以前の原稿をいじっていて感じたのは
5、6年前の自分の絵が恐ろしくつたないということ。
線はガジガジにささくれて、表現の手前で格闘しているだけ、
表情も大雑把、キャラクターの造作も人体の理解不足から深みがない。
作業は補筆というより改稿に近いくらい殆どの人物の表情に手を入れて
線のタッチもいじることになりました。
もちろんまた数年して自分の絵を見たら
この「ヘタクソ感」を感じるのだろうけれど、
やっぱりこの5年、特にこの2年程度で随分上達したと思ったり。
会社で働くかたわら、
週末に野上武志さんの漫画のお手伝いをしていたことが大きな要因だと考えます。
「るあ」や「セラ重」、「蒼海」などこの数年の作品に関ってきた中で、
自分の描いたことのない題材や、
ペンの使い方への慣れ、技法の試行錯誤など、
自分独りで描いていた頃と比較にならないほど蓄積ができました。
そして社業に追われながらも、
絵を描く身体と感覚を失わずにいられたことです。
漫画家は絵を描かないと漫画の描き方を忘れる。
それは本当のことで、
旧版の「虚数霊」の1話ではその感覚にさいなまれましたが、
今回はその感覚がない。
それが証明だと思います。
漫画家として仕事をするに到る中で
友人達の厚意に本当に助けられました。
この場で深くお礼申し上げます。
ありがとうございました。
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