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2010年8月18日 (水)

音楽はYoutubeで聴いちゃおう

「黒執事」の作者さんが読者というか消費者の姿勢を嘆き訴えているのが
とり上げられている様子。
モラルの低下というより「生産」や「創作」するということにリアリティを持てずに、
ニートよろしく純粋な末端消費者に成り下がった
というより、お金を払わない消費者以下の、それこそ乞食がごとき人々に対して、
せめて自分の声が届くところに想いを伝えようとした切実な姿勢に
僕も感謝と拍手を贈りたい。
音楽業界もその状況は相似形で、多くの人が苦しみながら、
それでも音楽を糧に頑張っている。
で、この日記のタイトルはそれと真っ向対立しそうなんだけど、
ちょっとだけ違っているはずなので、最後までお待ちを。

先日、学友でジャズミュージシャンの松井秋彦と、
彼のライブを聴いたあとで話をしていたんだけど、
やはり、Youtubeあたりに流れ出す無料の音源が
音楽への欲求や消費を埋めるため、
音楽に関わる仕事はかなり危機にある。
その中で音楽家はどう生きていけばいいのかと
簡単には解答なんて導けない問いのやりとりをしていた。
その昔、レンタルレコードが隆盛した時代。
僕もまぁ、よくレンタル屋に通って映画サントラ盤のJAZZ音源など
テープに落として聴いていたものだけど、
当然、レコード業界はそうした商売を快く思ってはいないわけで、
随分批判を繰りかえされていた。
しかしその中で、山下達郎はレンタル業の存在を現実として受け止めて、
それでも、何度も聴きたくなる作品、
そして「自分のもの」として買って所持したくなる作品を
クリエイターは創っていかなくちゃいけないんだというような発言をしていた。
不遇時代を抜け、すでにヒットメイカーにまで昇っていた頃のことで、
それは勝ち組の言葉と揶揄する人もいたのだけど、
でもマインドとしては「大量消費に埋もれるもの」ではない、
人生の同伴者たるものを有した創作を志すのは
正論だと僕は思っていた。
もちろん今とは時代的に状況も異なる。
テープメディアとは違った完全な複製が可能で、
無料でネット上にどんどん流されてしまう。
本もiPadへ違法コピーがもう流布されている。
音楽も紙媒体も、それまで有してきた形の存在に
疑問符がつけられてきている時代だ。
メディアが有形からデータ情報などになっていけばいくほど、
実は商売として成立させていた条件や「たが」が薄れて、
有償の根拠が無くなっていっている。
つまりその善し悪しはさておき、音楽や芸術が解放の方向に動いてるのに
商売の思惑だけがなぜが逆行してる。
だから違法だとかそういう言葉で飾ったり、法律で縛る。
クリエイターとして価値ある創作を行っても、
それが自分の生計を必ずしも支え潤すものにはならない流れ。
まだ僕らの世代ならば、
有形と所有への憧憬を抱えた消費者の存在が購買を支えてくれ、
もしかしたらその少ない相手を対象にした限定された商売で
生きていけるのかなとか思ったりもするけれど、
それだけでは次代に無責任だし、
いろいろ考えて何かを果たしていかないとと思っている。

ちなみに「FREE」なるビジネス書が持てはやされて、
「フリーミアム」な無料ビジネスを吹聴する傾向がここの所あるけれど、
あれは企業論理とマーケティングが先行した消費動向の脈絡で、
創作するということへの軽視を感じるし、
なにより、利益率の低い漫画や音楽では
低廉が市場を支える基礎になってしまっているし、
「プレミアム」を付加する「フリー」にはまだ馴染んでないように思う。
以前、無料の漫画雑誌が刊行されて、
漫画編集経験のないスタッフや、雑誌としての柱の弱さから頓挫したけれど、
あれがもっとまともな編集者とちゃんとした資本の元に成功していたら
またちょっと変わっていたかもしれない。
その意味では拙い者による実験の失敗が、
そのままビジネスモデルの失敗に見られてしまったのが残念。

で、ここからやっと僕の話なんだけれど、
僕は以前ほどではなくても、ラジオで気に入った曲などは調べて、
それなりに買っている。
(書評など読んだり、本屋で眺めて本もそこそこ買う)
なんだけど、音楽をYoutubeで聴いちゃおうってのは、
実はこれがまた経営者の幼稚なコストカットと在庫悪視管理の礼賛の悲しさゆえ。
ラジオで聴いた曲を好きになって、いざ買おうとすると
もうすでに廃盤や在庫切れ。
権利関係のクリアが難しいとか、
再プレスして在庫抱えるのが嫌だとかで再販の見込みなしとか、
日本では売れないだろうから入荷見込なし。
(MP3販売すらなかったりするし)
そんなのばかり。
実際、AmazonでもHMVでも、注文したものの、商品の確保ができなくて
3ヶ月以上も待っているものが5枚もある。
もうあの曲は聴けないのかなとか落胆してたのだけど、
時折、Youtubeにアップされていたりするから
その意味ではネット社会はありがたい。
もう誰も相手にしない曲ならネットで聴いてもいいよね。
大切にするから。

そうした手に入らない音源を少々ご紹介。

映画「シャーキーズ・マシーン」サウンドトラック。
当時人気絶頂のバート=レイノルズの監督・主演の刑事物。
サントラは彼の趣味でJAZZ界の大御所ボーカリストが参加し、
映画のためのオリジナルもあって、秀逸な1枚になっている。
サントラはスコア曲は抑えて、そうしたゲストをフィーチャーした
コンピレーション盤の色彩が強い。
がために後年、権利関係がクリアできず、CD化を困難にしている。
「虚数霊」2巻でもちょっと扱ってある。
Before You
大御所Sarah VaughanとJoe Williamsのデュエットが甘く歌い上げる。

Love Theme from Sharky's Machine
これもSarah Vaughan。貫禄なんだけど嫌味がない語り口。
映画向けのせいかアドリブは控えた歌唱になってるかな。

Street life
映画のオープニングから。
ORIONのタイトルに続くRandy Crawfordの歌の前奏(ヴァース)は、
彼女のCDにも収められてない、映画のオリジナル。
静かに滑り出して冬の街の情景へ誘う。
元々はクルセイダーズのアルバム収録曲だし、Joe Sampleのいかにもな曲調が懐かしく心地よい。
(途中からスコア曲なので3:30辺りから割愛してね)

こっちはCDの方のStreet Life。

Persis
ジェームズ=ホゼイはアメリカの金管の作曲家。
「ジャイアントロボ-地球が静止する日」の曲が好きな人はお勧め。
日本では殆ど音源が発売されてない。(取り寄せ中)

Mass(Agnus Dei)
スティーブ=ドブロゴスのミサ曲。
アメリカのピアニストで現代作曲家なんだけど、元々はJAZZ畑の人。
アレンジとか和音の構成にその色が残っている感じ。
この人のこの曲もほぼ廃盤状態。

もうひとつの心
女性デュオ・TINAの曲。79年のTBSドラマ「愛と喝采と」の主題歌。
人気のドラマでもない。売れた曲でもない。
でもずっと僕の心に残り続けてて、
でももう手元に有することはないと諦めていた曲。
それにまた会えた幸せ。
僕にとっては大量消費とは関係ない創作の輝きのひとつ。

ということで珍しくYoutube貼り付けまくり。

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