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2011年5月17日 (火)

めまぐるしく

この1ヶ月くらいは、修羅場続きの野上さんのスタジオへ手伝いに入り浸っている。
だから絵を描く身体は弛んではいない。ありがたいことだ。
先日のCOMIC☆1に出た「スフィンクスの魔女・3」を購入された方は判るかもしれないけれど、
分業で作品を仕上げていくというシステムの中で独特の工程が組まれている。
前からも幾度かあったことだが、
僕の描いた絵だけれど僕の絵じゃないものが沢山ある。
下画きは僕だけれど、ペン入れは別の人の絵なのだ。
もちろん日程に余裕があれば僕が全部仕上げるべきものなのだけど、
ここでは、僕は良質な下画きを沢山生産することが最優先に求められた。
(一応キャラの顔を含めて似せられるし)
背景や脇役もいくつかやったけれど、
「モブ」と呼ばれるその他大勢の絵は8割以上が僕の手による下画きだ。
ご存知の人もいるだろうが、僕の下書きは迷い線があまりない。
そのままなぞればいいだけの完全な線画になっている。
だから一定の能力以上あれば、誰がペン入れしてもそこそこの形にはなる。
でもやっぱり僕の絵とは違うんだな。
僕には僕のペンタッチがもちろんあるし、
漫然と「なぞる」「トレスする」では、線に表現は生まれないのだ。
何が描かれていて、線の1本1本に何の意味と意思があって
何を表現しようとしているのか、
それを意識して描いてこそ、線に命が宿る。
野上さんのところでペンを入れてくれた人はそれなりに上手なんだけれど、
どうしてこう線にみなぎる意志が感じられないのかなと色々考えた。
そしてそれは僕の下画きに大きな原因があると気づいた。
ようは僕の下絵が描きすぎなのだ。
だからつい気持ちがトレスに傾いて思考する線から離れてしまう。
集団作業はなかなか難しい。そして興味深い。
この本ではそれでもいくつかは僕がペン入れまでしているので、
それがどれだか探すこともお楽しみになればと思う。
土曜まで手がけていたのは、全裸の美少女の群れ。
野上さんの絵や頭身に合わせつつ、とにかく描く。
これは一応全部僕の手で仕上げているので、
気持ちイー。

同じCOMIC☆1で、からサンところで出た
「中国嫁偽日記」へ寄稿したのは前に触れたけれど、
さすが井上くん(というか嫁)効果。
委託した同人誌書店も品薄や完売の状態に
それが、アキバblogやmoeyo.comに紹介されたりしたものだから
http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51255851.html
http://www.moeyo.com/2011/05/doujin_nihonbare.html
一時はお祭り状態で、
その記事からのリンクのために
僕のこのblogも通常の10倍以上の訪問があって、まぁびっくり。
というか、漫画家になって
アキバ関連のwebに初めて名前がまともに採り上げられたり、漫画を褒められたりってのが
コレってのはどうよ!?
と自分で突っ込んでみたりする。
だけど振り返ってみると、僕が同人誌で長めの漫画を描いたときって
環望ちゃんの「バンパイアバンド」のアニメ化、
神野オキナさんの「あそびにいくヨ!」のアニメ化、
そして今回と、お友達の慶事に合わさってる。
サイタマンとか昆虫食とか脳内嫁とか、ろくなこと描いてないようだけど、
読者へ面白がって描いてるっていうより、
彼らに楽しく読んで欲しい気持ちが沢山のページを描かせる気がする。

自分からの告知は随分後手になってしまったけれど、
赤松健先生が主催するJコミという無料の漫画配信で
拙著「Ringlet」が先日から公開になっている。
http://www.j-comi.jp/book/detail/3551
事業拡張で作品数を伸ばそうという戦略でもあったのか、
樹崎聖さんからの赤松さんへの推薦をしたいという打診があって
前から意欲的な取り組みに興味と賛意を持っていたから
お願いしますとお返事したら
僕もびっくりするほどのスピードでトントン拍子に掲載となってしまった。
凄い機動力だ。
もう随分前の作品だから、絵なんて恥ずかしくて見ていられないけれど、
感想が周囲から届くのは凄く嬉しい。
絶版の折に幻冬舎の法務からは酷い仕打ちを受けたけれど、
ちゃんと権利を掌握しておいて良かった。
「Ringlet」には連載直後にはもうイメージができていた続編があって、
そのうちに続編とは判らない形で描いてみようかな。
第二次世界大戦の直前、イディスの住む在郷へ鉄路で黒い魔女がやってくる話。
単行本1冊分くらいのボリュームでどうだろうか。

僕の加盟している社長の寄り合いからの依頼で
7月にヒューマンアカデミーという学校の漫画学科で
90分ほどの講演をすることが決まった。http://haa.athuman.com/
依頼のルートの関係もあって講演料は交通費だけなのだけれど、まぁいい。
さして有名でない漫画家だし、
僕のいささか特殊な経歴や考え方が
これから絵を生業にしたいと思う人の何かの役にたてるなら。
(まぁ学校は商売でやってるんだがね)
先日、岸田メルさんがTwitterで書いていた
原稿料と生計の考えも汲みながらやってみたいな。
とりあえず、まだ先の話だけど
学校とは打ち合わせを済ませて、今日はその構成を練っているところ。

今は連載の仕事をもってないけど
妙にあわただしくめまぐるしい。
でもなんとかちゃんと生きられている。
宴席が続いたり、野上さんのところで二食ちゃんと食事をとってしまうので、
少し肥ってしまったから、節制もしよう。
そして一ツ橋での漫画のプロットもかかっていこう。
っていうか、シャルルの絵も早く描きたい。
ほむほむの絵は塗り始めたところ。

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