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2011年6月13日 (月)

宴会敗残兵

Father
「まどか☆マギカ」の最終話の魔獣は
ファーザーに見えて仕方がない むらかわです。

負けた。大敗を喫した。
10日は午後から(社)日本漫画家協会の総会が帝国ホテルであったので、
出席するべくいそいそ出かけてきた。
お仕事で出席できない野上武志さんの議決委任も受けていたし、
昨年末に入会した新会員ということもあり、
心して出かけたつもりだった。
事前に会員名簿を見て、顔の見知った漫画家さんをチェックしておいたし、
名刺もしっかりと数を持参した。
朝から風呂に入り、洗濯したアロハを着て用意万端、
会場にも開会40分前には着いた。
受付を済ませ、どうぞとばかりに総会会場に通されたら、
大御所の先生たちが居並ぶ中、総会の前の支部長会の真っ盛り。
うわ~、場違いだなぁと汗をかきながら隅で小さくなって傍聴する。
こういう会議を傍聴するのは組織の内情が見えて良いのだけれど、
なんで末端のヒラ新会員をここに通すんだろうと、もやもや。
その支部長会が佳境にさしかかったところで
やなせたかし理事長御大が到着。
そもそも参加が危ぶまれていたらしく、杖をついて登壇。
今年になって耳に加えて目を悪くして、もうよく見えないし、絵も描けないから、
「もうすぐ死ぬので引退する」「だから協会の理事長も辞する」
と92歳が吼えたところで
そのまま「私は漫画家として地獄を見たからここまでやってこれた」とか名調子で話し続ける。
とうとう支部長会の時間はなくなって、慌てた事務局がそのまま総会へと進行する。
ところが総会になっても会場の席がそう埋まるでもない。
意外と少人数で総会議事はスタートしてしまった。
各理事の大先生方がまったりと議題説明などを続けるのは微笑ましいのだが、
結局、委任状が足りているからなのか議決をしない。
なんじゃろこれは?シャンシャンどころじゃない。いやびっくりした。
こんな総会初めて。
で、ここにきて嫌な予感がしたのは、
総会出席者の殆どがご高齢者というか年配の方々ばかりで、
面識のある人が一人もいないってこと。
そして会場を中二階に移して宴会へ。
漫画家協会賞受賞式を兼ねたこのレセプション。
会員の漫画家よりも圧倒的に部外者というか外部の取引先などの人が多い。
比にして漫画家1:3取引先という感じ。(印象ね)
で、ここまできて、新会員だから、理事さんたちに面通しするでもなく、
何か目印の花とかをつけるでもなく、
会話ができるように、強制的にテーブルを設けるでもなく、
基本的にまったくの放置状態。

ここで僕の失敗その1。
子供の頃からジャンプはもとより、サンデー、マガジンから青年誌に到るまで
少年漫画らしきものを殆ど読んでこなかったので、(今もあまり少年誌は読まない)
殆どの漫画家さんを知らない。作品も知らない。
自分は少女漫画ばかりで育ったし、その先生の大半はいまや引退されているので、
僕の分かる方は皆いない。
とにかく、眼前に高名な先生がいらしても、作品を読んでないから話の切り出しようがない。
失敗その2。
予め準備してきた顔見知りの会員さんがすべて欠席。
宴席の時間からの参加者もいらしたのだけれど、とにかく誰も知らない。
松本零士先生がいらしてたら是非ご挨拶をと期待をしていたのだけれど、欠席。
そこにきて外部の取引先も知らない会社、付き合いのない会社の人ばかりで、
もうチリメンジャコの中に混じってる小エビのような孤独感でいっぱいになった。
失敗その3。
宴会場はウェイティングドリンクがあるのは良いのだけれど、
受賞者を雛壇に、やなせ先生が歌い踊っているので、(いつ死ぬ気なんだよ!)
開会後1時間以上、料理に手もつけられないから、
結局待っている間に白ワインを1本分すきっ腹にあけてしまった。
これでかなり酔いが廻ってきてしまった。
失敗その4。
ここまで孤独でお酒が入ると、気の張りようもなく、
すっかり一人ぼっちイジケ癖のスイッチが入ってしまって、
周囲を不快にしないようにニコニコしてるんだけど
誰とも口をきかずに、駄目な自分を呪う様に責め続ける状態になっちゃう。
自分がキライ。自分がキライ。自分はダメ人間。自分はダメ人間。
これをずっと頭の中で回し続ける。
ドロドロのヘドラみたいな状態になっていたら、
プロはだしの絶妙な司会をされている里中満智子先生のお声で、
今期の新会員の登壇を促され、そこには僕の名前も。
それなりの人数が呼ばれたはずなのに、来場していたのは僕を含め4人。
その顔ぶれには安倍夜郎さん、藤本由香里さんがいらした。
僕は簡単に「40代で漫画家になりました」と自己紹介。
すると里中先生が「それまで何をされてたんですか?」と問われるので、
「経営していた町工場が倒産しまして…(あと苦笑)」
すると「地獄を見ていらしたんですね。そういう方は強いから」と里中先生のツッコミが入る。
凄い司会っぷりだ。
ここでやっと会場で言葉を発してつかえが少しとれたこともあり、
安倍さん、藤本さんにご挨拶。
安倍さんは、僕の地元での行きつけの小料理屋に何度かいらしたのを知っていたので、
そこの縁で話題をふる。
藤本さんは少年画報社フデ様の名前を出したらコロリと表情が和らいだ。(さすがフデ様)
つまりは自分のエネルギーや話題で誰かとお話できる力が残ってなかったのだ。
その後舞台は、バロン吉元先生がテンガロンハットとウエスタンシャツで踊り廻り、
続いてやなせ先生があの「赤毛のアン」の主題歌も歌った大和田りつ子さんと
お化粧直しを繰り返しながら唄い踊るステージが繰り広げられた。(いつ死ぬ気なんだよ!)
当然、アンパンマンも登場する。
その間に、さいたま市盆栽町の漫画会館の学芸員の人を見つけたので
僅かな時間だけれど、名刺交換。
そこで自分にはもう精一杯で、すっかり元気を奪われてた。
ちばてつや先生の中〆で散会となったのだけれど、
そのあとも挨拶する人が絶えない ちば先生にやっとの思いで、握手を申し出る。
僕の住むところは以前、先生が住まわれていた地域なので、
そのことと、新会員であることを告げると
快く笑顔で握手をして下さった。
僕は僕が嫌いだから、他の多くの人のように写真を一緒に撮ることはできない。
自分の写った写真は残したくない。
だから握手だけ。

社長時代には商用のパーティの鉄則をちゃんと実践してきて、
名刺を何枚配ってどれだけ話をしてきたかを自らに課してきたのに、
その力はもう枯れちゃったのか、磨り減った心がまだ元に戻らない。
営業職としてなら、今回はもう落第点の大敗北。
なんだか負け続けで、ぬかるんだ塹壕を這い回るような散々な宴席だったけれど、
「ハリスの旋風」を「あしたのジョー」を描いた先生の右手を握った感触だけがその夜の戦利品。

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