夏の報告 2
夏コミは暑かった。
なんだか例年の夏より暑かったと思う。
初日は「中国嫁嘘日記」の日。
あさりよしとおさんの漫画に落丁はあったものの、訂正紙を入れて販売。
さっそくに「アキバBlog」でも紹介を受けた模様。
http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51283141.html
もう同人書店に並んで、しかも即完売状態みたい。すごいなー。
書店に卸されたのはこの落丁版らしく、
刷りなおしを納めたいっていうのに、
落丁版に訂正紙でよいと書店側から催促を受けた様子。
希有馬っちの単行本も出た今の商機を逃してなるかってことなんだろうなぁ。
リアルタイム検索で見ていたら、
巻頭の僕の漫画を含め、けっこう「酷い(褒め言葉)」という評判が聞こえてきて嬉しい。
この本が希有馬屋の新刊だとか、僕の漫画が彼の筆だと思っているのもある。
中に、「@depon2010 私の先輩が「中国嫁嘘日記」出している」ってあったけど
多分この「先輩」は僕のことなのかなと思うけど、この人誰なんだろう。
現在、増刷されて落丁を修正したものが出回ってるそうだ。
二日目は自主制作アニメ「ロボと少女(仮)」DVDの日。http://roboshoujo.com/
絵葉書に監督自らサインしてサービスしようということだったのに、
初コミケにしてあの暑さでサインする前に速攻ダウンしたらしい。可愛そうに。
三日目、僕のところは前置きしたように、自分の新刊はなく、編集を手がけた
春日ひろ自選集「Pink Flower」とhttp://www.ne.jp/asahi/hiro/sheep/PF.html
「ロボ少」をメインに据えた店構え。
春日さんの本は素晴らしい印刷の仕上がりで、
緑陽社の担当者には何度もお礼を述べておいた。
自分としては本文中に少しだけ失敗を見つけてしまって、
印刷ではなくこちら側の失敗ゆえに悔いが残る。
(そこが最後まで自分で関われてなかった部分であるというのも)
でも本としては立派な風格のものであるのは胸を張れる。
春日さんも僕達を赦してくれ、きっと喜んでもらえていると思う。
一人のお客さんがこの本を手にとり、ゆっくりを中身を眺め、
嬉しそうにされているので、お話をしたら、
この本が出るのを心待ちにしてくれていたそうだ。
「東館にある春日さんの旦那さんのブースでは特典がつきますよ」
「それは来週のコミティアでも購入特典になりますよ」と告げて
頂き物のその特典を見せてあげたら
じゃあ来週買います。と嬉しそうに去っていかれた。
別に僕のところで買う必要はない。
素敵な出会いにさえなればいいのだから。
「ロボ少」はDVDだけあって、お客様へ少々説明を要する手間がかかるけれど、
それを怠らずに、頑張って売った。
それでも50枚に届くくらいで、こういうときにマイナーサークルは悔しい。
ブックレットは綺麗に仕上がっていたけれど、
やっぱりもう少し早く動けてたら、
印刷の経費や紙の質などできることは多かったのになと思う。
春にはもうこれを作ることは決まっていたのに、
数ヶ月間まったく情報が貰えず、身動き取れなかったのが大きい。
ともあれこの2冊は献本がまだなくて、会場で見たきり。
自分の手元で今眺めることができないから、
また後日ゆっくり鑑賞したい。
コミケでは色んな人が顔を出してくれるけれど、
大学の漫研の後輩が数年ぶりに顔を出してくれた。
彼は卒業後に編集者になって、自分が主幹でエロ漫画を立ち上げるのでと
僕に協力を求めてきた。
それで何冊かのアンソロジーや同人誌に寄稿することになる。
この頃の仲間が、うたたねひろゆきだったり、
「戦場のヴァルキュリア」のゲームプロデューサの野中竜太郎だったりする。
今でも、うたちゃん、竜ちゃんで呼び合える。
だからこの出版社で僕の最初の単行本「還相」が出ることになる。
僕はその後、やはりここで仕事をしていた別の後輩に声をかけらて、
富士見書房コミックドラゴンで「Ringlet」を描くことになっていく。
彼は仕事を軌道に乗せいき、また新たな別の企画も業界に影響を与えるなど、
力を発揮していく。
その後心ならずも独立したと聞いていたけれど、
あの頃の僕はエロの仕事からは遠くなっていたし、なかなか話を聴く機会もなかった。
久々に会って話をしたら、
昔のやんちゃさは残しながら、でも編集者兼経営者として
とても奥深い哲学と経営理念を持って臨んでいることが伝わってきた。
独立の事情も、作家とスタッフに頑張りに見合ったペイをしたいのに、
利益が不採算部門の怠慢からの赤字に吸収されることの改善が
役員に見られなかったからだし、
今はその考えを発展させ、作家の生活や将来を考えた水準の支払いや、
その基準の公平な明確化、
他社に比して胸を張れるその篤さを誇れるものとし、
利益をきちんと貯め、無借金経営を貫いている。
それでいて編集者としてエロ漫画に求める「濃さ」と「線」への感覚も失ってない。
もちろん、やんちゃだから、失敗や足りない資質もあるだろうけど、
リーダーに求められる魅力がちゃんと備わってる。
彼と一緒に仕事すると、きっと愉しそう。面白いものが見られそう。
そんな印象を受ける。
だから僕は彼のもとでエロ漫画を描いたんだろうな。
そんなこんなでまったり話をしていたら、
そこへコミケのスタッフとしてすっかり大幹部になった後輩が現れ、
「おう!」「おお」「ひさしぶりですね」と笑みが交わされる。
彼の会社はティーアイネットと言う。
話は少し戻って、「中国嫁嘘日記」のリアルタイム検索していたとき、
MUJIN編集部・山田なる人が、@depon2010 私の先輩が「中国嫁嘘日記」出している。
と前述の呟きをRTしてたけど、つまり僕はMUJIN誌の社長の先輩でもあるのだよ!
ってことを知らないところが笑えたりした。
翌15日は上京していた大本海図さんと上野で空海展を観たりして、
コミケのリハビリにいそしむ。
それぞれ作家同士だから視点がユニークで
一緒に廻って仏像とか書画を見ていても感想が愉しい。
食事はアメ横の路地でごそごそとむさぼり、アジアの雰囲気を満喫。
やっぱり暑かったけれど、いい休日だったな。
僕にとってお盆の休日はこの日だけだったみたいだけど。
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