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2013年6月

2013年6月 9日 (日)

3巻は6月26日

編集部からオープンにして良いよということなので、
26日に発売になる予定の「宇宙戦艦ヤマト2199」コミックス第3巻について。

お話は時系列を組み替えながら、
ガミラス側に軸を置いて、「2199」で語られる星間戦争のバランスをとるのが僕の目論見。
漫画ではアニメのようなフットワークで両陣営を行き来してしまうと、
ドラマというか心理的な流れが寸断されてしまう感じがしてるので、
比較的ヤマト側のドラマ要素が少ない冥王星基地攻略編で、この試みをしてみた。
(実際そのために、勝手にガミラス側のお話や背景設定を作ったりしてしまった)Yc03_com114_2

時系列をいじると分りづらいという声も聞こえるけれど、
洋画や海外ドラマなどではごく普通にある主砲なので、お許しいただきたい。
構成を組み直すことで、心理的な流れの妙とか出てくると思うし、
そちらを楽しんで貰えたらなと願っている。
ということで、太陽祭を後ろにして、グリーゼ581の話まで入れて3巻を括りたかったのだけれど、
早くコミックスを発売したいという角川側の気持ちもあって、
冥王星基地陥落までとなっている。
なので連載5回分、少しボリュームが薄いのは残念。
あとお話がここで区切られてしまったので、連載ではさらに構成を変えて(戻して)、
太陽祭のお話から続くよう変更した。

本編は今回も連載時から殆どの頁に加筆修正の手を入れている。
厳しい日程の中で、なかなか十分に自分の思惑に沿った手が入ってない頁があったり、
デッサンの狂いや、演出的な表情の変更などもあるので。
(若干だけれど増頁もある)
なので連載で読んでいただいている読者の方々にも楽しみはあろうかと思うし、
一気に読むことで見えてくるものもあると考えるので。

今回も口絵は本編のモノクロ画稿から改めて彩色してある。
ただ、5月頭は連載と並行して雑誌表紙と単行本作業がある中で、
とても自分だけでは手が廻らなかったため、
カラー化に関しては親しい友人二人に手伝っていただいた。
2巻でお願いした日野カツヒコさんにも声がけはしたのだけれど、自身のお仕事の関係で叶わなかった。
冒頭のガイデロール級戦艦から、シュルツ居室のシーンの3頁は
野上武志さんのスタジオでアシスタント仲間だった米蔵さん。http://www.pixiv.net/member.php?id=14843
人物は個性が出るので僕が手を入れたけれど、
背景は彼の筆致のまま。

Yc03_com001
続くバレラスの総統府は、ヤマトの同人誌にも寄稿いただいていた
イラストレーターの時代ミツルさんの筆によるもの。http://tokishiro.sblo.jp/
普段は線画などないタッチの絵を描かれているのに、
わざわざ僕の線画を尊重しながら、凄く奥行きがあり、かつ華麗な情景を描いていただけた。
これは僕は一切加筆していない。
Yc03_com004
二人ともありがとうございました。
とても助かりました。

カバー画は引き続き玉盛さんにお願いした。
図案の決定までに出版社と色々議論はあったけれど、
最終的にはこちらの希望が叶ったものになった。凄く嬉しい。
コミックスは1巻から銀のインクをベースに敷いてそこに印刷をかけている。
今回の背景色は銀色に黄色55%を乗せて、擬似金色に仕立ててある。
この金色と第三艦橋の赤、帯の黒などをバランスしながら、
さながら金屏風のような雰囲気になればと願っている。
玉盛さんから、「ここは窓みたいに開くので」という提案もあり、目のように輝く緑も加わって、
ちょっと謎のロボ風にも見える趣が加わっている。
書影はニュータイプエース誌22号の表紙に載ってしまってるので、
Na0b32
Amazonでは一昨日くらいから、小さいけど表示されており、
既にお気づきの人もいるとは思うけれど、こんな感じに仕上がった。

Yamato2199_3cover3

Yamato2199_3cover2
カッコイイ!
玉盛さん最高。
新潟市での展示には玉盛さんの絵も当然ながら掲げられているのだけれど、
アイディアの推敲から、大きくプリントされた完成画を見ると、
描き手の気持ちがひしひし伝わってくる。
今回もそういう力に満ちてる。

以前にも触れたけれど、
僕はヤマトはみんなで作っているという意識が強い。
アニメのスタッフとして参加したことが起因しているのもあろうけれど、
出渕監督や玉盛さん、一緒にヤマトについて語り明かした仲間の存在が大きい。
だからカバー画しかり、口絵でもそう。
人と一緒に仕事してこの漫画を上梓できるのは、とても嬉しいのだ。
自分の作品なのだけれど、コミカライズゆえにもっと開かれた感じの存在感を意識してる。
製作委員会の方々も好意的だし、色々助けていただいてる。
コミカライズは友人達に聞くと組織との間の苦労が多いらしいのだけれど、
こと、描くことにおいては、ヤマトにそのストレスはない。
だから仕事は大変で、寝る間もあまりないけれど、描くのはいつだって楽しい。

コミックス発売の前というか、重なるように第6章の公開も控えている。
(というか角川が発売を重なるようにしたのね)
PVはドキドキしちゃうので、長尺版や冒頭8分は観てない。
僕は七色星団の模式図とか沖田艦長の海軍時計(クロノメーター)の設定をした程度で、
絵コンテも必要部分しか見てないため、楽しみで仕方がない。
だからあまり情報は入れたくないファン心理状態。
お話どうなっちゃうんだろう!
(相変わらず脚本を読んでない)

コミックスの特典は僕の聞いている限りでは
アニメイト、ゲーマーズ、コミックZIN、新潟市、そして丸善。
特典は角川の営業部門が管理しているので、漫画家が勝手に動けるわけではない。
営業を通じて書店の希望がきて、それを編集部が采配してる。
アニメイトは、描き下ろしで古代の絵の希望だったので、
古代と島の絵を描いた。人は二人いるとその関係性から絵にドラマが生まれるので良い。

02
ゲーマーズは、2話の森雪の扉絵を加筆修正して彩色。

Y02_01
ZINは、14話の玲ちゃんの扉絵をやはり加筆修正してから彩色。

Postcard_zin3cmyk
(3枚はそれぞれトリミングされたり背景色が変わる予定)
丸善はまだ企画書が届いていないので未対応。
編集部はNA誌の表紙画をと言っているけれど、
あそこはペーパーも併せているので、それは新規で描かないとならないかも。
新潟市は現在「2199」展を催していることもあり、
市内の主要書店での購入特典としてもらえるポストカードを求めてきていて、
編集部ではやはり雑誌表紙に使った絵を当てるつもりらしい。
自分的にはヤマトクルーでなにか特典でもと考えていたけれど、
特に先方からの声は伝わってきていないので、
今回は3巻は扱っても、特典は無いことになるかもしれない。

ということで特典イラストのため、今月も連載原稿の日程に圧迫が始まっている。
なので今号は少し頁数は減らしてもらうつもり。
なにせ30日には新潟市でトークイベントがあるし…orz
「マンガの家」での展示は6日からコミックス2巻の原稿に模様替えしている。
あびゅうきょ先生に描いていただいた、木星表面や恐竜さんぱお~んの原画は必見w
講演後の7月は3巻の原稿へと3回の展示替えがある。
さすがに3回目の展示は見られないかな。

コミックスの発売は26日予定だけれど、
印刷は月半ばには上がると思うので、
入荷次第早売りという書店もあろうかと思うのでご注意を。

[追記]6/22
ヤマトクルーは、何かカードの特典があるらしいです。
4巻が出るときは事務局と相談してなにかバリューの高い特典を付けたいなぁ。
丸善・お茶の水店は遅れましたが、NA誌22号の表紙画イラスト(上掲)のカードが特典になります。
30日の新潟は100人近い方の応募があったそうです。ありがとうございます。
当初予定していた「マンガの家」ではキャパが足りないので、
目と鼻の先の別会場へ移動して催すようです。
展示はコミックス発売に合わせて3巻のものに模様替えを早めてしてしまうそうです。
解説文は連載原稿があがったら書くつもりだったので、予定が狂った。
2巻の展示は30日限定で「アニメ情報館」で公開も検討中だそうな。
サイン会まで済んだら、その会場で17時より皆でTV放映13話を観ようという企画も進んでます。
フラーケンの回は僕もモニターデザインに参加してるので、面目がたちそうw

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2013年6月 1日 (土)

さぁ6月だ。

脱稿したー。
5月は新潟へ日帰りしたり、高熱と脱水症状で数日倒れたりと、イレギュラーがあった上に、
そもそもの絵の仕事が、NA誌の表紙のカラー画を今月も描くことになったり、
本編の連載が普段より増頁にして内容もメカと爆炎が目白押しで手数がかかるに加え、
〆切がいつもよりタイトって状況で、
よくもまぁ乗り切れたなというのが素直な感慨。
もしかすると今まで一番、厳しい状況だったように思う。
支えてくれたアシさんには感謝感謝。
第15話は雑誌の版下がそのままコミックス3巻に収録されるので、
単行本直しの猶予がないため、
トーンワークに求めるクオリティが最終形だから大変だったと思う。
かくいう僕のフィニッシュも1日以上かかってしまった。

冥王星基地攻略のメ2号作戦は
メカや人物のみならず、
舞台となる冥王星の地形や、爆発など様々な自然物的な要素を描くことが求められる。
ここは山、ここは氷結した海、爆炎と爆煙は違う、ここは燃えててここは煙、
そういうのを即興的に考えながら描いていく。
http://gyazo.com/75d391b9b17ef203867a64263f175f53
トーン処理がPCソフトでの効果に替わってくる時代にあって、
海なら波が、空なら雲が、素材写真とかの安っぽいフィルタリング効果で表現されるようになるのは、
自分には退行とか逃避にしか見えなくて、
作品の魅力をそれだけで十二分に損ねるように感じる。
便利な道具ならば、創意をもって表現に踏み込んで、魅力を作って行きたい。
僕にとっては「描いている」って行為そのものが「力」や「魅力」を感じる源泉ではあるけど、
それはそこに表現する試みと技能・イメージとの界面が存在してるからなんだろう。
PCでの効果であっても、同じマインドが感じられる表現とか創意が受け取れればいいのだと思う。
安易で陳腐なのはやっぱりイメージの貧困に見える。
(その意味では今回、湯煙の表現など地味だけどPCとアナログの両方を活かした試みを重ねてみた)
漫画は時間と表現とのパフォーマンス性も求められるから、
省力化やコストとの関係性での判断も当然存在する。
これまで、その限られた条件の下で
先人たちは漫画の表現を模索し創意と試みを捨てないことで進めてきたのだと思う。
それは手で描くでもPCワークでも同じ。
チープで甘えた型に逃げ込む前に、試みを重ね、自分と戦うべきじゃないかなと思ってる。
随分前に聴いた講演で
「写真素材をフィルタリングで背景完成。デジタルアシでござい」なんて聞いて、
大昔に写真をコピーし二階調の陰影表現にしたものを背景に糊で貼ってた時代と
発想が進んでないことに口をあんぐりとしてしまった覚えがあるけれど、
「PC便利」とか言うなら、表現する方法としてもっと踏み込むべきではないかな。
PCは発想次第で簡単で短時間にそれを形にしてくれるはず。
そしてそれをオペレーティングに落とし込むでなく、
描くという心を不断に維持する志を持ちたい。
漫画に描く場の雰囲気や空気感、そうした情感をスタイルに昇華して、
音楽的に表現できればいいなと願う。

今回、反射衛星砲や冥王星基地の概観を描いていて、
2199で宮武さんの描いた設定って、イメージを供給するって印象って言うか、
そこから絵を起こそうとすると
描く側でディティールや構造を膨らませたり馴染ませたりという手数がかなり必要だった。
事物を細やかに限定していく今のアニメの設定の考え方ではない。
なんだか宮武さんに宿題出されてるみたいで、不思議な感覚w
なので僕なりの解釈やアレンジで描いたのだけれど、
宿題の評価はどうなるかな。

そうして冥王星をしこしこ描いていたら、
ついにTV放映にも追い越されてしまったか!かっかっか。
しかし改めて冥王星編を見たけど、
基地の人たちの台詞を僕は殆ど再配分して、かなり違う人に喋らせてるのを思い出した。
シュルツと部下の関係性や、人柄を表現するにはそれが必要だったんだもん。
台詞の内容は同じでも、喋る人が違うと立ち位置や見えてくるものが変わるから。
それでいて物語の展開を変えないでも済むし。
コミックス3巻は、ガミラス側にドラマの力点を置くことにして、
今後につながる星間戦争としての視点をバランスする目論見があった。
出版社の都合でグリーゼまで掲載する前に単行本化になってしまったけれど、
それでも読後感として形成できるところまでは持っていけたように思う。
コミックスには収録しない15話の扉絵は、
イタリア軍研究家の吉川和篤おねえさまのコレクションからお借りした写真を参考に描きましたの。
以前より拝見していたおねえさまの収集品から、
ヨーロッパの軍隊のスナップにある、人の持つ空気というものが印象に残っていたので。
冥王星前線基地のザルツ星旅団にそんなイメージを重ねて。

新潟市の「マンガの家」で催されている「2199漫画の世界」展は
まもなく第2弾の模様替え。
コミックス2巻の原稿が掲示される。
そしてそして、月末の30日にはトークライブとサイン会なんたるものが!
http://house.nmam.jp/2013/05/23/0630talklive/
こちらの〆切もあって先方とまだ打ち合わせもないし、
そもそも社長時代に懲りて、人様の前で話をするのは自分には向かないと思っているので、
何を話したらいいのか途方にくれていたら、
氷川竜介さんのアドバイスもいただいて、
2199というアニメと漫画の表現の差として心がけているものとか、
僕が描くという行為の中で意識していること、大切にしていることを軸にしていこうと思ってる。
会場はマンガの家の研修スペースを予定しているようだけれど、
参加希望者が多い場合は近隣施設に変更も考えているみたい。
日曜だし夕方5時にはヤマトが放映されるので、(13話?)
そのまま参加の皆で観られるよう手配ができたらいいな。

脱稿したらもう6月。第6章も公開するし、まだまだゆっくり休む時間はなさそう。

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