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2013年10月12日 (土)

漫画力強化合宿

原稿に古代のハーモニカを描いた。
Amazonで発売前に予約注文したサントラの第3弾は、
なぜか11月17日に発送しますとのことで、
第2弾のCDを聴きながら執筆をしていた。
(なので今、この時点でも3枚目は手元にない)
で、ブレスも生々しいハーモニカの演奏を聴いていて「はてな?」と思ったのは、音。
シンプルな唄い口のそれは単音ハーモニカの音で、
設定資料に描かれているものは複音ハーモニカだ。
複音は上下にリードがあって倍音によるふくよかな音色になる。
もちろん舌を使って、上下のどちらかの穴を塞いで吹けば、単音になるけれど、
古代がそういう演奏をわざわざする理由はまったくない。
漫画では音が出ないので、どちらでも問題ないけどw

Y19_05
連載の脱稿後すぐ、二泊三日で合宿をしてきた。
この合宿は以前から計画をしてきたもので、
野上武志さんのスタッフさんや仲間たち、
そして僕の連載を手伝ってくれているアシさんを交えて、
絵の基礎的な技量のボトムアップというか、経験値とか視点を養う機会を作ろうというもの。
僕は野上さんの手伝いを長く以前からさせていただいていたので、
そもそもスタッフの皆とは親しいし、
僕自身が野上さんスタイルの制作の組み方に倣っている部分が大きいから、
共有するテーマや課題があるので、ぜひ一緒に勉強ができたらなと思っていた。

場所は栃木県日光市の僕の親族の別宅。
今は利用することも多くないそこを、野上さんと合宿場として下見をしたり、
漫画学科をもつ近隣の美大のカリキュラムなどを見学させてもらいながら、
自分たちなりの勉強の目論見を作ってきた。
今回は大きく3つ。
○ 人体クロッキー
○ ライティング講習
○ 風景スケッチ

漫画家であっても、人体のデッサンやクロッキーをしたことがないという人がけっこういる。
呆れた話に思うかもしれないけれど、現実なのだ。
漫画は記号化の産物という側面があるため、
その記号を真似て絵を描くようなルートから、
結局、素の人体に触れることのないまま漫画やイラストをやってますというケースだ。
人には癖というものがある。
それがだんだん肥大してフォームが崩れ、スコアが落ちるというのは野球やゴルフではよくある話。
絵も同じだ。
それに記号から入ってしまった人は、
そもそもの記号化というプロセスの過程を人体に照らして理解してないから、
自分の癖の肥大化や狂いも実感できないし、奇天烈に変容した絵を平然と許容してしまう。
大ベテランの漫画家さんの絵の狂いなどは、そうした癖と無理解の合成が要因に大きい。
なので、人体を描くことで、人体構造を把握して、
記号化に自分の中で理解と意味を与える。
そういう立脚点と視座に触れる機会をと考えた。

ライティング講座は、高校時代に写真部だった僕の経験がヒントになっている。
当時の写真部は1年生にライト(光源)の位置を変えて撮影し、
人物や衣装の陰影の違いからどのような表情が出るのかを
考えレポートにする課題が与えられていた。
それが僕には漫画家として人体に陰影をつける際の大きな糧となっていることから、
そうした経験を持つことの意義を感じていた。
調べたり聞いた限りでは、美大や専門学校でも
この人体のライティングを学ぶ機会が皆無のようで、
価値の高い講座になると思っていた。
方法は暗くした部屋の中で、一点灯の光源の位置を変えながら、
人体に落ちる影の表情をスケッチしていくというもの。
描きこむ用紙は僕の素案に野上さんが更に手を加えたものを用意した。

風景スケッチは小学生の図工の時間みたいだけれど、
自然物に素直に触れながら、その対象を把握する力は、
背景画という要素がついて回る漫画という表現の中で必定なもの。
ラフなスケッチというところから、
負担ではない、描くことの楽しみに結び付けられるきっかけや、
どこを押さえることで存在感を発揮する風景になるかを
考えられたらと思ってカリキュラムに加えた。
もちろん部屋に篭ってばかりでなく、
観光も含めて外に気持ちを向ける機会を設けたかったのだ。

僕は、午後に脱稿してそのまま実家に行って、妹からクルマを借り、
翌日から合宿がスタート。
総勢9人という結構な人数。
野上さんと僕でそれぞれ参加者をピックアップして日光へ。
東北道の佐野SAで全員集合をしてから、旧・今市市の無料駐車場まで移動。
昼食とあいなったが、「うなぎが食べたい」という約一名の暴言が採用され、
周囲3km四方で一番高額な飲食店に入ることに…orz
(会社の高級接待で使われる店)
実は安くて美味しい店の目星はつけてあったのだけど、
でも確かに天然うなぎは美味しかった。座敷も風情があって素晴らしかった。
つか、絶滅危惧種の日本鰻を食べるのは、最近気が引けていて、本当に久しぶりだった。
そしてウチの別宅に移動して、人体クロッキー講座。

モデルは野上さんと親しい口枷屋モイラさん。 http://selfer.net/moira/
今回、合宿を通してお世話になった。
野上さんの現在の連載がセーラー服の発展型の制服を着た主人公なので、
まずは、セーラー服姿をクロッキー。
不慣れなこともあろうと、初回は10分で、以降は5分のセットで進める。
ポーズは参加者に描きたいイメージを2つほど考えてきてもらっていたので、
それをあてていく。
下着でのクロッキーも行った。
当初、裸体でと考えていたのだけれど、
着衣のほうが大胆なポーズもとれるかなとか、
モデルさんのスタイルからは着衣のほうが効果が大きいかなとか
色々検討して下着でとなった。
クロッキーはある程度の数をこなせたとは思うのだけれど、
参加者でそれを見て意見交換や指導をする時間が取れなかったのが残念。
(ちなみに下着でのクロッキーは時間切れで二日目になった)

Raugh1_s
Raugh2_s
初日の夜はバーべQ。
昼食時に買出ししておいた食材や酒などで
夕方6時から深夜1時までの酒盛り。
というか最後まで飲んでいたのは野郎だけだが。
肉や魚を炙りながら、庭でまったり過ごすのは楽しい。
この日の日本酒は蔵元「渡邊佐平商店」で買った「日光誉」のラインナップ。
http://watanabesahei.co.jp/
そして松田重工さん自家製の琵琶酒など。
http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51407767.html

二日目はライティング講座が主体。
前の晩の片付けや二日酔いでスタートはやや遅くなったw
居間の雨戸を閉めて、照明を1灯。モイラさんは下着姿。
人物と灯りの位置を変えながら、影を追う。
1セットでもあちこちの方向から描いてメモするので20分は必要。
休憩を挟みながら代表的な光源ポイントを8つほど描いた。
(そのあと、下着クロッキー)
もう少し、ポジションを稼ぎたかったけれど、時間切れだった。
やはりこれも描いた後に、すこしレクチャーを設ければ良かったな。
あと、顔の影の出来かたはもう少しクローズアップして
色々バリエーションを揃えたほうが良かったように思う。

Lighting_s

そして二日目の夜もバーべQ。
今度は講座終了後に買出しに走る。
野上さんは日本酒。今度は近所の蔵元「片山酒造」へ。
http://www.kashiwazakari.com/
柏盛のラインナップ。
野上さんの持込のローストチキンなどを厨房でさばいてもらう間、
僕は近所のスーパーへ食材の調達。
そして7時位からスタート。
途中、食材がつきかけたので、オイラが自転車で買出しに。
帰りに見上げた夜空の星があまりに綺麗だったので、
帰って皆に告げたら急遽、星空鑑賞会に。
遅くなると冬の星座もお出ましになるので、けっこう色々観測できたみたい。
日光はやはり東京よりも星が見えるなぁ。

三日目は日光東照宮でスケッチ。
家の片付けと戸締りを済ませて出発。
東照宮までは家からほぼ一本道。
日光が初めてという人もいたので、観光がてらまったりと進んでいく。
あいにく陽明門が修理工事の真っ最中で覆いの中だったのは残念だけど、
あちこちゆっくり見られた。
一通り見学したところでスケッチに。
僕と野上さんは指導役に回る予定で、あまり描かないつもりだったけど、
ゆっくり見学しちゃったので、皆も描く時間があまりない感じw
スケッチの考え方みたいなのの僕のアプローチとか、
もっと示してあげられればよかったのだけれど、
あまり出来なかった。

Sketch_s
1時過ぎに再集合して、こんどは霧降高原へジンギスカンを食べに。
霧降高原の名の通り、途中から視界2mのホワイトアウトな世界へ。
クトゥルフの怪物かベル星人が出そうな濃霧の中を
キャーキャー言いながら運転して、目指す大笹牧場に。
http://www.tochiraku.or.jp/oozasa/
そこでわいわい肉を焼いて、生乳ソフトクリームを食べて、
今回の漫画力強化合宿のカリキュラム終了。
山を下って帰途についた。

暗くなった高速道路はなんかほんとうに風景に変化がないし、
もうボーっとしてきてしまって、ちゃんと運転はしてるけど意識が薄弱になっちゃう。
もちろん飲み疲れや寝不足もあるから余計にフラフラ感満載。
しょうがないので追い越しレーンでガンガン攻めの運転をして、
なんとか緊張感を維持。
同乗者がまだ話かけてくれたから助かったけど、
寝ちゃったりされたりなんかした場合は運転大変だろうなぁ。

かくて無事帰宅。
昨日はクルマを返しがてら実家と妹の家に寄って、
久しぶりに家族と長い会話。
健康でのどかに暮らしていて安心した。
帰る前に、さいたま新都心のMOVIXさいたまで
ハーロックとスーパーマンを観た。感想はまた改めて。

合宿はどれだけ参加者の役にたったのかな?
教育効果というか、ケアをもう少し加えてあげると飲み込みや定着が全然違うので、
そういう面をしっかりしてあげたかった。
もちろん自分で反芻できる人たちだから、過保護なのかもだけれど。
ただ課題として考えていきたいし、
新たなカリキュラムで第2弾も催したい。
また色々考えていこう。

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