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2014年4月

2014年4月22日 (火)

22日は色々と

前の日記の内容に触れて、ご心配いただいた励ましのメッセージをいただいたりしました。
ありがとうございます。
僕は背中を押していただいても
根本的に自分が嫌いで、自身への深い負い目と不信感を持っている人間なので、
それを努力の糧にもしたりしており、
周囲に恐縮しつつ、描き進めることは以前もこれからもそう変わりはしません。
ちやほやとした変な甘い夢に期待を持たないよう、
実直にかつ自分を厳しく戒めていこうということだけです。
ともあれ普通に元気にお仕事をしております。
仕上がったものが喜んでいただければ、それは変わらず何より幸せなことですし。

今日22日は色々とお仕事の動きがある日。
昨夜は池袋西武で開催される「ヤマト2199原画展」の内覧会にお邪魔してきた。
僕は報道プレス側の人間ではないので、
原画展にまつわるものの納品のためという理由が正確な事情。
展示内容はとても見応えがあった。
結城信輝にいちゃんの修正原画や玉盛さんのデザイン原図、
小林誠さんの美術設定などが額装されて並んでいる。
アニメを観ていていいなぁって思っていた絵が
殆ど結城さんの手によるものだったことが改めて分ったし、
動画になる前の生き生きした線は表情に富んでいて
線に勢いと意味が与えれている。
眼福だった。
玉盛さんのスケッチも設定資料集に収められていない、僕も初見のものが多く、
その線の意外なほどの力強さが素晴らしい。
流れというかラインやフォルムをどう意識していたかが伝わってくる。
ガミラス艦艇のデザインの緻密さも感慨深い。
(これを描くのかぁっていう意味でも)
模型誌に作例として掲載されたプラモデルも
モデラーさんの創意が加わった量感にあふれていて、カッコイイ。
700円という入場料はちっとも高くない内容だった。
さらに新調になった1/100ヤマトもお出迎え。
内覧会では除幕式まであった。
1/500を参考に造形されているので、ディティールも十分。
プロポーションも良い。
舐めるように眺めてきた。(周囲に笑われた)
原画の展示は、会場内だけでなく、
書店LIBROの4階のコミックコーナーにもあるらしい。
また2階には原画展とは別のヤマト物販コーナーが併設とのこと。
この情報の露出は少ないので、そちらもお忘れなく。
http://www.libro.jp/news/archive/004011.php

グッズコーナーもけっこう充実。
iPhoneの外装シールも並んでいた。
実際に貼って、待ち受け画面もDLしたものを見せてもらったが、
予想以上にかっこよかった。
バックライトで輝きながら、iPhoneの時計の表示が重なって、
すごく洗練された感じになっていて驚いた。
アイコンはコピーされやすいので、権利関係のクリアに手間がかかるゆえ
今回は断念したとのこと。
数枚、見本をいただいたのだけれど僕はガラケーなので、
ヤマトークの司会でもおなじみの小林治さんをお見かけしたゆえ、さしあげた。

僕が会場に赴いた理由の一つは、
オリジナルグッズとして販売される版画の見本にサインを施すため。
原画展の公式webにはまだ掲載されていない様子だけれど、
(そりゃ、先週の土曜に入稿したんだものw)
スターシャの絵を描いた。
27日にある井上喜久子さんの講演の背景に添えられるものがあればということもあり、
画題が決まったもの。
自分的には一枚絵として人様にご購入いただけるレベルには描けたかなと思う。

[部分]Stasha

イスカンダルの花を花冠の要領で編んだものをあしらったのだけれど、
クライアントからは花をスターシャの後ろに配置したほうが
身体のラインが見えていいと言われた。
僕は逆にそういう男性視点的ではなく、
かわいらしさも添えて女性にも素直にいいなと思ってもらえる絵にしたかったので
その意見は却下した。
価格は50000円で限定40部だそうだ。
この絵は版権画として買取りされる予定なので、売れても別に僕の印税にはならないw
でも他の重厚で大きな版画よりサイズも値段もお値打ちだとは思う。
加藤さんや麻宮さんの版画はかっこよかったな。
版画は今回の催しで売れ残れば、今後展開される地方でも開催で販売されるそうだ。
(開催は熊谷・大阪・名古屋・広島・福岡が既に決定)
サインをした版画の初号は少し彩度が高いかなと感じたので、
実際に購入者の手元に届く販売品は少しだけ色味を控えてもらおうと思う。

そして西武鉄道の記念切符。
今日の朝5時からの販売だけれど、
その彩色に用いた肉筆原画をやはり原画展で掲示していただけるとのことで
昨日納めた。
こちらはノートリミングなので、ハガキとはまた違った印象があるかも。
また原画展で掲示されている地球側のイラストでは、
沖田の右腕に血糊がついているのだけど、
特典ハガキではオミットしてある。
これは公共交通機関としての鉄道の特典で事故や怪我を連想させるものは
好ましくないかもと、僕のほうから意見具申して外してもらったものだ。
製作委員会も西武さんもさほど注視はしていなかったけれど、
僕の意見を酌んでくれた。
切符は通例だと2、3日で完売とのことなので、まだ買えると思う。
ちなみに、僕は見本をまだ貰っていませんw

内覧会のプレス向けセレモニーでは、
菅生さんや内田さんもいらしていたけれど、
挨拶はできなかった。(声優さんは憧れなのです。残念!)
セレモニー後の会場の再配置を手伝って、
そのまま案内をうけて、ヤマトコラボのビアガーデンで晩御飯。
モツ鍋とかお肉美味しかった。

そして今日はもう一つ。
KADOKAWAのCOMICKWALKERでヤマトの連載の更新日。
http://comic-walker.com/
午後には更新されるのではないかな。
メルダは男前に描いたつもり。
その物怖じしない真っ直ぐさが玲ちゃんを自然と追い詰めていく。
お話はEX178が沈むアニメ10話のラストまで。
今朝方このあとの連載2回分のプロットを書いたけれど、
そこまでがコミックス5巻に収められる。
表向き「メルダ編」で、実際は「玲ちゃん編」になるなぁという印象。
今日からシナリオにかかって、
28日のサイン会にはネームを手がけていないとまずいぞ!

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2014年4月16日 (水)

まがい物の見る方角

連載をなんとか脱稿した。
厳しかった。

Y25_04

連載原稿と並行して
22日から池袋で行われるヤマト2199原画展関係の仕事が数本走っていたので、
物凄い日程と作業量になってしまっていた。
http://yamato2199.gengaten.com/
原画展での仕事のいくつかは既に発表になっている。(未発表の段階のものもある)
オリジナルグッズで、iPhone5の外装フィルム「Synchroskin」のデザインと監修。
西武鉄道の原画展記念切符のイラストとその冊子状切符の編集のお手伝い。

フィルムの方は、メーターをイメージした商品を作りたいのでということで、
一応アニメ本編でメーター関係をデザインしていた自分に御指名が。
漫画を描きながら監修作業を何度も重ねたので、
日程的にギリギリまでおしてしまったのは、申し訳なく思っている。
僕のデザイン画を業者がIllustratorで作図していく過程で、
どうしてもイメージの齟齬が出るから、そこをすり合わせしていく必要があるのだ。Photo
ヤマト的な味わいと表情を大事にしたいという業者の意見があり、
作図された線に僕の手描きのタッチを薄く重ねたり、
背景表面の陰影に僕が微妙にレタッチしたりと手間が色々かかっている。
フィルムだけでなく、待ちうけ画面やアイコンがダウンロードできるので、
裏面と若干違った絵になるようにしたり、
僕のイラストからキャラのアイコンを作成してもらったりもしているので、
iPhoneを利用の人は楽しめるかも。
(僕はドコモのガラケーw)

記念切符は
切符面のイラストを発注したいのでという依頼で、
西武さんを交えた会議に出席したら、
ブックレット型ということもあって、元編集者の性というか
あれこれ意見をついつい言ってしまって、
特典ハガキは男性キャラでと推したら、「じゃあ僕が新規で描きましょう」とか
子供っぽい誌面ではなく、落ち着いた構成にしましょうとか
言ってしまった以上は責任を果たさねばならないので、
冊子の編集のお手伝いまですることに…。
絵描きという立場での参加であるのに、
デザインから制作進行の整流まで、あれこれと差し出がましく関わったことに、
デザイン編集会社の担当さんには随分な失礼をしたなと恐縮している。
中身は既存の絵素材を利用することや
ヤマトに触れたことのない人を意識したものという方針がまとまったので、
そんなにコアなものにはなっていないけれど、
キレイな作りにはなっていると思う。
関わった人たちの士気が高く、
納期の短い中、スピード感のある判断でものを作っていく作業は、
大変だけど心地よかった。
西武鉄道の駅長さんたちはヤマト直撃世代の方が多く、
この切符の発売をとても喜んでくださっていると聞く。
限定各2199部でという企画だったのだけど、
発表になったら3000部になっていたのはご愛嬌w
今回描いた絵は合計4点。
原画展にはその彩色用肉筆線画も展示されるらしく、
図録にも完成した画を紹介の意味で小さく収録するとのこと。
末席を汚すようだけど、嬉しい。
絵葉書は男性キャラのみでという自分の企画が通ったので、
2199のビジュアルではあまりなかった取り合わせを打ち出せたと思う。

Postcard_yamato_cmyk

Postcard_garmillas_cmyk

手に取った人に喜んで貰えたらいいなと願って描いたのだけれど、
「またむらかわか。公式のアニメーターの絵がよかった」
という声がネットにあることを聞かされた。
僕はまがい物、偽物なんだろうなと、とても凹んでしまった。
あんまり悲しくて、その日はもう絵が描けず、
〆切は迫っていたけど漫画の手を止めて、早々に寝てしまった。
僕は率先してイラストのお仕事の営業をしているわけではない。
僕だって、結城にいちゃんの絵が大好きで、見たいと思っているし、
僕の絵がでしゃばることにずっと恐縮している。
だけど劇場版を年末に控えて制作の現場は忙しく、
仕事に傾注する艦橋を整えたいという製作委員会の心遣いから、
漫画を担当している僕にやむなく声をかけているであろうことは、
誰でも容易に想像できることだと思う。
僕はアニメを応援する役だと意識しているので、
自分に求められ、出来ることを誠意を持ってお手伝いさせていただいている。
自分でスミマセンって思いながら頑張っている。
だけど人によっては僕ではやっぱり「ガッカリ」なんだろうな。

父の急逝で、そのままでは倒産してしまうからと
社員の仕事と生活を守るために、
編集を辞してメーカーの社長を継いだとき、
社員は自分の都合のよい、心地の良い場を維持することさえ出来ればよく、
父の代用品、まがい物として
僕の努力も意見も理想も、霧散していく扱いと現実に
苦しみつづけた日々を思い出した。
「誰かのために」という想いは、
期待や願いとともに、心の大切なものをその誰かに預ける行為だ。
だから傷は深いところに達する。
またそれをやってしまったんだなと感じた。
作品は発表した段階で色々言われることは仕方がない。
責任無責任問わず、そうした声はあっていい。
だけど、僕を含め、漫画家や絵描きは
受け手に都合のいい娯楽を提供する自動機械じゃない。
心のある人間なんだ。
だからと言って誰かにああしろ、こうしろと求めるのは違うだろう。
自分を改めることが、自分のできる最善のこと。
なので、「誰かのために」という気持ちで動くことは慎む。
そういう色気や欲を捨てていこう。
自分の作品の表現や絵に向き合い、
納得度を高めていくことに力をつくしていこうと考える。
ファンを意識して率先して商品や絵の提案をするようなことは
もうしないつもり。
作品から感じてもらうという本来に立ち返って臨みたい。
僕は馬鹿だから、つい、甘く華やかな夢を見たくなる。
だけど僕の見るべき夢は、それとは違う方角にあるということだ。

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