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2014年6月30日 (月)

ヤマト5巻と天橋立とそれから

忙しい忙しいばかりでぜんぜん日記が更新できない。
とにかく絵と漫画を描くことばかりなのは充実しているのだけど、
人間的なことがあまり出来ないくらいの状態だし、
この数ヶ月休日もなしで、睡眠時間4時間半なのだから、
(睡眠時間はヤマトの連載当初からこの状態だけど)
ヘトヘトになってきた。
ヤマトの劇場公開に合わせたいという出版社側の商業的事情から、
連載の休みも貰えずに、 単行本をいつに出して、
そのために連載は5回で1冊にまとめろと強制される。
必要なドラマの進行と、納得のいく絵と演出でまとめていきたいという
こちらの気持ちは関係なく、外堀ばかり埋められていく。
その乖離を阻もうとするなら、自分が働くしかない。
先日もこのまま過労死するんじゃないだろうかという所まで追い込まれ、
頭痛と吐き気とめまいの中で、嫌な汗をかきながら それでもなんとか原稿を描き続けた。
小刻みにとる休憩や仮眠程度ではもう厳しい。
半年に3日でいいから、まとまった休日が欲しい。

昨日早朝に単行本5巻の加筆修正を終えた。
web連載時の状態からほぼ全頁に手を加えてある。
今回のカラー口絵はキャラなしでずっと戦闘シーン。
お友達の日野カツヒコさんに塗っていただいたものに僕が加筆した。
大分いじったけれど、 日野さんの置いた青が色を支配していて、楽しい。
右が日野さん、左が僕の加筆後の絵。

4

愛知の友人・玄くま氏(https://twitter.com/45Bears)に会ったときに、
4巻の感想を一言も聞いてなかったなと思って意見を求めたら、
web連載のゲール閣下の表情が弱いとお叱りを受けてしまった。
そりゃこれから出る5巻のほうの話題だよねと思ったけれど、そのまま聴いていた。
彼はとうとう4巻の感想はまったく言わなかった。
つまらなかったのだろう。
ともあれ、なので5巻ではゲール閣下の表情をかなり描き直した。
批判を受け止め反省に立って進まないといけない。

今度の5巻はアニメ本編での10、11話に該当するお話。
メルダ編という括りだろうけれど、それはつまり玲ちゃん編であるということ。
言わば「緋色のエース編」w
ヤマトクルーでは既に書影も出ているが、
玉盛さんに描いていただいたゼロα2とツヴァルケはカッコイイ。

5cover

https://yamatocrew.jp/shop/html/products/detail.php?product_id=480
(ちなみにヤマトクルーでの通販はコミックスにサインをするもので、特製トレカにはしない予定)
二人のパイロットに象徴される赤い色。
もちろん漫画はモノクロで色の表現はできないけれど、
二人の出会いから浮き彫りにされるものは
物語のアウトラインはアニメと同じでも、
中身としては全然違うところへ持っていったつもり。
ちょうど東まゆみ先生の「緋眼のエース」が発売になっているので、
その視座の違いも面白いかもしれない。
http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51443521.html
東さんの漫画はNHKの大河ドラマと同じ発想の構成で組んである印象。
連綿とした人物の心情や、詩的な描写で全編を括るでなく、
合戦などの物量イベントは触りだけ、
長い時間軸で主人公のからむ良エピソードをかいつまんで、
雰囲気を作ってパッケージングするから、
各々ブツ切りでも読後感は意外に良くなる。
ヤマトのように物語の大枠の進行を、さながら歴史モノのように認知されているがゆえに
出来る作劇の主砲だ。
(TVシリーズをダイジェスト劇場版にっていうものにも利用できる方法)
期間の限られた旬の短いコミカライズっていう仕事へのアプローチとして、
こういう割り切り方を用いて描くっていうのは、思い切りが良いなぁと感じ入る。
物語の結びに色々意見のある人もいるようだけれど、
そうとらえると理解しやすいはずだ。
そして、玲ちゃんが元々のアニメで「スッキリした」と言った時点で、
ヒロイン降板と同じなので、お話の続けようがないよなとも思う。
物語は動いてもドラマが動かない。
これはアニメ本編のシリーズ構成的欠陥だと考えている。
ゆえに、僕の漫画ではスッキリさせない。
涙流して苦しみ続け、怨念のような恋もする予定。
それこそがヒロインでしょう。
ちなみにこうしたお話を描くと僕が玲ちゃん推しと思われる方もいるだろうが、それは誤解。
僕はずっと森雪。
聖女ではなく、人として色んな面を見せながら
それでも魅力のある存在として描けたらと思っている。
ヤマトのキャラは誰しも一所懸命に生きて、一所懸命に恋もする。
そんな風に描きたい。

ちなみに僕の玲ちゃん像は
庵野カントクと飲んだときの会話がベースになっていたりする。
「ああいう娘はたたじゃすまないよね」的なw
森雪はヤマト講座の「黒雪」説を参考にしつつ、灰色を目指す感じ。
メルダみたいに真っ直ぐ真っ白だと、こっちが気疲れするので、
灰色が好き。
人の心は柔らかでまだらな階調の上にあるものだ。


5巻とその連載に並行して動いていたのが
天橋立とヤマトのコラボレーション企画。
7月5日からスタートするそれは既に公式サイト等でももうオープンになっている。
http://yamato2199.net/info/news/41/
http://www.tankai.jp/yamato2199/yamato.html
僕が担当したのは天橋立の観光船の記念切符。
郡司Pからのご下命で現地に直接入って、企画会議から参加し、
デザインから仕様まで全部関わった。

Photo

クリアファイルは最新の公式ビジュアルのデータから擬似セル画風に作成。
同梱の設定資料は絵もさることながら、
なるべく「読む」部分の多いものを10枚ピックアップした。
公式設定資料集には収められていない、
僕の担当した第一艦橋のモニター設定も一枚入っていたりw
印刷も鉛筆風に見えるよう、濃い灰色のインクに少し銀を混ぜてもらって、
鉛筆の風合いが再現できるように工夫したつもり。

切符&ステッカーは僕のデザインとイラスト。
小野さんのナレーションによる音の紀行のmp3は脚本も僕、生録での音源収録や編集も僕。
製作委員会が観光船の船内アナウンスを録音すると知って、
抱き合わせで一緒に録音して欲しいと、
「クロスオーバーイレブン」のような「音の風景」のような企画を通したというのがいきさつ。
(小野さんの録音と効果音とのダビング演出は、そちらのプロにお任せ)
切符に印刷されたQRコードでその音声と
デスラー総統を描き下ろしたスマホ用の画像(1440×1280pic)がダウンロードできるという
切符だけにとどまらない拡張性を考えたもの。
それらをとにかく人手がないので、全部やることに…w

切符の販売数は2199枚。
連番のシールが梱包材に貼ってあって、
2199番やキリ番などは通販ではなく市内販売所でしか買えないようにして
天橋立、宮津市に脚を運んでもらえたらという試み。
宮津はすごく静かで、町並みが昭和30年40年のままで、
散歩していて最高に楽しい。
魚介類も美味しいし、こういう街で暮らしたい。
日本海側は子供の頃に夏を過ごした島根県に重なって
自分には親しみやすいのかも。
これを機会にぜひお訪ねください。
僕もまた行きたい。

このあともP様の指令で幾つかの企画のお手伝いをする予定。
日本三景か…。
もう7月になる。 次回の連載の準備もまだなにもしてないよ!
ぜんぜん休めないな。

追記7/2
そういえば天橋立の記念切符で、デザインやイラストに自分の名前をまったく記載してなかったw
そうして名前を明記すると見た人には「また むらかわだよ」「公式アニメーターにしろ」って
うんざりされるだろうなと思うと、
気持ち的にどんどん後ろへ廻りたくなってしまって、そのまま忘れてしまってた。
これ以上でしゃばるなってメールを僕は内心待っているのかもしれない。
僕は自分が嫌いでずっと恥じて生きてきたので、
否定的な意見がどんな肯定よりも素直に馴染む。
やっぱり僕は駄目な人間なんだったって安心するのだ。
駄目だからこそ、努力をしようと頑張れるし。

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