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2015年1月 6日 (火)

明けました

コミックス6巻の原稿が明けました。
1月4日午前5時12分。
そして本日6日に校了となるはず。
これで26日発売にこぎ着けたということになります。
ということで、
新年明けましておめでとうございます。
この数ヶ月、ほぼカンヅメ状態で、休日はおろか年末年始もコミケもなく、
朝の8時から夜の3時まで漫画を描き続け、やっと明けました。
(年賀状の絵もこれから描かないと)

公開中の映画「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」のタイミングに合わせよという
出版社の目論見に応えようと努力してきましたが、
アニメ本編の仕事、日本三景のタイアップ企画も並行している中で、
殺人的なスケジュールになってしまい、
それでも何とか対応をし、励ましてくれた編集さんの粘りにも脱帽です。
倉田さん、ありがとう。

どれだけ殺人的かというと
簡単に言えば、家から殆ど出ずに寝床と机の往復になるので、
7、8分も歩くと足が筋肉痛になります。
頭痛が首から上がってきて、世界がぐるぐる廻って時々嘔吐します。
歯がぐらぐらして歯茎から抜けそうになる。
突発的に自分嫌いの感情が昂ぶって、自傷行為を起こしそうになります。
(まぁ精神的な凹みは一晩寝るとなくなるのが自分の特技)
病床にあるとどれだけ身体が衰えるのかとか、
漫画家が早死にするっていうのが、なんだかよく分った気がします。
体力も精神も限界までもっていかれながら
それでも100P余の原稿を一気に描き上げることができました。
通常のローテーションを破壊して進めざるをえないので
アシスタントさんにも迷惑をかけました。
でも支えていただいて、原稿ができました。
本当にありがとう。

玉盛さんにも劇場版の仕事と並行してカバー画を描いてもらって、
随分負担をかけてしまいました。
お陰さまで、出版社内では大変評判がいいようです。
ありがとうございます。
上京したら一緒に美味しいものを食べに行きましょう。

6巻の内容はミレーネル編。
というか乗組員の過去をまとめて描いていく構成にしました。
なので17話「記憶の森から」のエピソードも混じっています。
これまでは、ずっと三人称のスタイルで描写してきたものを、
この巻では一人称のモノローグ表現を用いたり、
コマ割りの方法を変更したりと、
違った印象になる試みをしてあるので、
それがどのように伝わるかが気になっています。
感想などいただければ嬉しいです。
(webでの更新は1月の3週と4週に連続で載ります)

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以前からweb連載になったせいか感想が届きづらいとか、
TwitterとかPixivとかニコニコのアカウントもないので、
友人や人伝いにしか感想が届かず、
読者の顔の見えない状況への不安を書いていましたが、
僕に届かずとも、感想をSNSでもblogでもどこでも書いていただけたら
というのが本当の本音です。
角川のコミックスの巻末あたりを見ると分るのですが
「**巻につづく」という表記はどんな漫画にも一切ありません。
それは、次巻を出版する確約はしないからねという
暗黙のそして強い明示なのです。
つまり、話題にもならない、あげく本が売れないような漫画は
要らない存在として扱われるのです。
作品は完結してみないと評価ができない。
これは発言の責任感を伴った正しい姿勢とは思います。
これがTVアニメーションのシリーズなどであれば、良いのですが、
漫画はそれでは困ってしまう事情があります。
つまり完結まで読んでから感想は言うものだという姿勢で
言葉を発しないままであったりすると、
連載が打ち切られて、その完結がこないまま中断になるのです。
アニメと違って放映期間という一定の完結が約束されていないのですから。
漫画は、同時進行的に楽しんで話題にしていかないと
物語を結んでいくことが出来ない。
社長をしていた時に、企業の状況を見る方法として触れていた二つのスタンス。
銀行など金融は年1回の決算書とその指標を見て結果を断じる。
経営診断士は仕事の質や傾向、人の資質やビジョンを流れとして把握し将来を見る。
どちらも正しい方法ですが、
漫画は前者だけではままならないということです。
ヤマトなら心配ないだろう、コミックスの実績もあるだろうという声もありますが、
これまでコミックスの発売直後に
「電子書籍売上げの出足が悪いので連載は早めに畳みましょう」とか
そういう発言を角川から何度も聞かされてきて、
泥のように落ち込まされた経験から、決して安心が出来ません。
漫画家は面白い漫画を描くこと以外にすることはないとはいえ、
何より僕は自分が嫌いで、自分を信じることができない。
自分を恥じて無能に苦悩し、あえぐばかり。
なので、「今回は面白かったよ」という感想が聞けたら
それが一人の発言に過ぎなくても、
僕のいる無音の世界では漫画を進めていく力になるのです。
そして公言することがきっと他者の目に触れて、作品へと導いてくれる。
なので、感想を口にしていただければと願うのです。

ならばもっと声が聞こえるよう、
前述のSNSのアカウントを持てばいいのにと思われるでしょうが、
そうすると漫画を描いている時間がなくなるからです。
僕は自分を信じません。
絶対に自堕落に甘えて動画や文字を読みふけるので、
甘えさせない為に「断つ」しかないのです。
なのでニコニコエースで自分の連載を見たこともないです。

脱稿の徹夜明けのまま
新幹線に乗って博多の「ヤマト原画展FINAL」に行って来ました。
山田章博さんや加藤さんの肉筆原画を見たかったし、
出張ヤマトークもあったので。
無茶な旅かもしれなかったけど、自分の我侭のために時間を使うことを
少しはしてみたかったから。
原画展示は堪能できたし、ヤマトークも楽しかった。
小林治さんと中村繪里子さんのクロストークは見事なもので
音楽のセッションにも似た、信頼と間合いがある。
舞台でのアドリブと言うかこうしたライブ感の強さは自分にはないものなので、
会場の後ろの席で参加者の反応も眺めながら、ひたすらに感服していました。
夜は原画展主催の方や小林さんたちと夕食。
久しぶりにお酒をいただいて、(仕事してるときは一切呑まない)
そのあと「朝アニメのカリメロは面白い」とかそんな話をしながら
フラフラと博多の街をさまよって、屋台で長浜ラーメンをいただいた。
本場の豚骨、美味しかった。
翌日は中洲大洋劇場で「方舟」を観た。
試写会には行ったけれど、劇場は初めて。
内田彩さんがYRAで褒めていたけれど、
出渕監督が以前に良い劇場だと言っていたので気になっていたこともあり、
博多駅のT-joyではなくてこちらまでやはり歩いて行きました。
10時半の回は上映開始10分前までは僕の貸切状態で、(上映時にはお客さん増えた)
クラシックな設えの劇場を一人で満喫。
本編を見るのは2度目だったけれど、なんだか冒頭の
「人類最後の希望だ」あたりから泣きっぱなしで、
人目が少ないことをいいことに、メーメー泣いていた。
ヤマトが本来持っていたロードムービー的でフットワークの効いた冒険譚。
そして未来志向のスタンス。
沖田艦長の穏やかな笑みにまた涙。
「永遠に」の楽曲「新銀河誕生」でまた泣く。
エピローグの土方と斉藤のやり取りでまた泣き、
エンドクレジットで、一緒にヤマトに乗ったスタッフを思い出してまた泣いてた。
で、目を腫らしたまま、13時の新幹線に飛び乗って帰途へ。

僕は人と仕事をするのが好き。
社長になる前、業界誌編集の時代は人と切磋しながら仕事をし、充実して幸せだった。
漫画家はやはり孤独なのだ。
ヤマトはその孤独の中の執筆でも、皆と仕事をしているんだって思える。
ヤマトの航海は一旦終わるけれど、
僕の漫画は航海まだ半ば。次はフラーケンの登場。
その内容を考えながら、来週16日はヤマトークを観にいこう。

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