8巻がでます。
3月末、Amazonや書店の発売日がなぜか異なるので、
月末というような言い方になってしまうけれど、
「宇宙戦艦ヤマト2199」コミックス第8巻が並びます。
見本はもう手元に届いているので、印刷は完了しているということで、
早いところは23日に入庫、24日に店頭へ出るかもしれません。
今のところ特典は御馴染みのコミックZINと丸善・お茶の水店になります。
ZINは桐生さんのポストカード。
http://buff.ly/1pq0OyX
8巻では桐生さんをビーメラ4降下班に入れたので、出番があるゆえ。
というか他のヤマト側の女性キャラは大概、特典用に描いてしまったので、
あとは、イスカンダルとガミラス組になってしまうため。
丸善は伊東のポストカードと森雪のペーパーが同梱されます。
以前少し試した画面処理をポストカードでは施してあるので、
絹本に描いたように感じてもらえるはず。
もう少し彩色を淡く水彩調に出来たらよかったのだけど、
ちょっとしくじったw
図案は丸善・お茶の水のTwitterなどでオープンになることでしょう。
サイン本は書店から角川への依頼があれば、署名するつもりです。
今回の本の進行は、本当に厳しかった。
角川の3月決算に間に合うように出版することを大前提に、
最初から交渉の余地がないまま、
進行が厳しくなっても
「事故案件」扱いをちらつかせて予定を変えず、執筆を強制されて、
1日25.5時間ないと終わらないような(当然睡眠時間は含まれない換算)ペースを
示される中で、ひたすらに描き続けた。
執筆中に、胸に鋭い痛みが何度も走って、
仕事中に心筋梗塞で机で倒れて亡くなった父親を思い出したり、
睡眠時間を4時間半から3時間に減らして朦朧とした日々を
3月の頭は送っていた。
そうした都合で、毎月の更新にタイミングを合わせられずに、
掲載頁数が少ないことになり、それに対する苦言ばかりが聞こえ、
もう何十頁も描いているのに、それは読者には判らないことと、
悔しさ悲しさに胃の痛みが増していった。
僕は20代の頃は小心者であることや
職場の先輩のY氏に執拗なイジメを受けていたこともあって、
(今なら訴訟になるレベル)
胃潰瘍・十二指腸潰瘍を患い、
胃痙攣で救急へということもあったから、
間違いようのない痛みだ。
〆切を限界まで延ばし、それでも残された時間が足りなすぎる状況で
編集部へ発売の4月への延期を懇願したが、聞き届けられず、
逆に提案を受けたのが、物語最終部分16頁分のカットだった。
印刷工程で頁は4の倍数、8、16、32が単位になり、
16は1折と言われる技術的なパッケージ量だ。
「ネームを見て言っていますか?」
「いいえ」
電話でのそういうやり取り。
これまで、ヤマトのコミックは1冊の読後感というものを大切に描いてきた。
それが作品の満足度や意味に繋がるよう計らってきた。
そういう作り手の心や作品性とはまったく関係ない
決算期に間に合わせる都合を優先させろということだ。
実は6巻の時、やはり映画公開に合わせろという角川の指定による
スケジュールの逼迫でも、まったく同じ提案をされた。
これは断固として拒絶した。
それはカットする位置がまずくて、お話や演出が成立しない状態になるからだった。
そう。つまり僕は提案を頭ごなしに否定するのではなく、
検討検証をして答えている。
そして8巻のネームを検証した結果、
演出的にここでカットは可能であると判断し、提案を受け入れた。
(それでも入稿まで苦しい日程なのは変わらない状況)
なので、ヤマト側の反乱編の顛末まですべて完結できるよう
物語、ネームは完成していたのに、
それは次巻送りになったということだ。
https://gyazo.com/6f7141b4c5a1ff776084e4fef7c863e4
そのためデザインが入る必要で、先行で描いて納めてあった8巻の最終頁は
描き直しの差し替えになり、
使われることは無くなった。
残念ではある。
でも、そもそもが3月に刊行という急なピッチを求められたがゆえに
十分に盛り込めなかった演出や描写を
再度盛り込めたものに仕立て直せるので、
カットになったとはいえ、より良いものに仕上げられるという
機会を与えられたようにも考えている。
その意味では、16頁カットの提案は、必ずしもマイナスではなく
プラスに働くきっかけを作ってくれたのだ。
漫画家は自分の作品に呑まれているからこそ
踏み込めない判断もある。
その検討の機会を作ってくれたという意味で、
編集にはお礼を述べた。
なので、8巻は「引き」で9巻へ続く。
それでも楽しんで読んでもらえるものにはなっていると思う。
手にとっていただけたら嬉しい。
9巻はバラン星突破までを描く予定。もうプロットに入っている。
| 固定リンク