2022年11月 3日 (木)

2199再開します!

blogの更新が7月の「樅の木と鉄の羽の魔女」下巻発売以来とは、いけないいけない。

本日、自分が執筆しているコミック版「宇宙戦艦ヤマト2199」の連載再開と第9巻の発売が、
ヤマトの公式WebやKADOKAWAのサイト、およびTwitterで発表になりました。
大変長い間お待たせしてしまいましたが、
執筆再開の環境が整い、ようやっと再始動です。
ここまで支えてくれた出版社や製作委員会の方々、
そして読者の皆さんに感謝を。

日程的には、まず12月16日に連載の再開。第53話になります。
七色星団編です。
お休みしていた間に、最終回までのプロットはできておりますので、
それを軸に据えて、
アニメが1話分の時間や演出にとらわれるのとは違う、
漫画らしい構成で柔軟にお話を組んでいこうと思っています。
そして12月26日には、コミックス第9巻が発売されます。
加筆修正を施した原稿は入稿をし、校正も済ませました。
ヤマトの公式ファンクラブの会報誌のインタビュー記事の中にもあったように、
Web連載の公開時とは違い、幾つかのシーンで、
自分がそもそも考えていた筋書きに沿った改訂をしてあります。
そちらもどうぞお楽しみに。

先日の10月30日に催された同人イベント「ヤマケット」では、
連載再開を意識して宣伝用にクリアファイルを作成し配布しました。
E7f0911bf9c77fba63e27fdfcd9564cf
このファイルは、
12月18日のCOMIC CITY SPARK17・ヤマトオンリー「希望の旅路Sp2022」でも、
https://www.akaboo.jp/event/item/20194300.html
KIYOCLUBのサークルスペースにて50枚ほど配布します。
また当選をしていれば年末のコミケでも考えています。

新作の「3199」にも参加し、
ヤマト漬けな日々がまた始まりましたが、
休む前に身に宿っていた、温度や流量感みたいな感覚を
まずは呼び戻すリハビリみたいなつもりで、動いています。
年末にはちゃんと漫画の続きをお届けできるよう、頑張ります。


年明けには、こしがやエフエムでのDJ林檎さんの番組で
新春特番を1ヶ月ほど放送するべく、アンドロー梅田さんたちと準備を進めています。
『DJ林檎の二次元音楽館』。毎週土曜夜8時半からの30分番組です。
こちらもご注目ください。

 

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2020年2月20日 (木)

ガルパン漫画のコミックス発売です。

もう少してきぱきと仕事をこなして
半年に1冊くらいは刊行されるものと考えていた自分を叱ってやりたい気持ちになります。
ようやっと「樅の木と鉄の羽の魔女」が発売になります。
というか早いところはもう店頭に並んでいるのかも。
自分は風景とか自然物を描くのが好きで、
戦車はほとんど描いた事がなかったから、
ヤマトの宇宙空間にはなかった背景画を喜んでちまちま描いて、
予想外の戦車を描く難しさに四苦八苦していたら
毎月の連載の掲載頁数が稼げずに、結果1年もかかってしまいましたよ!
とにかく一人で絵を描いているので
どうにもこれ以上は早くならないっぽいし、
物語の全プロットのまだ半分だし、
この後、そのプロットの見直しをしようと思っているので、
まだまだ苦闘は続きそうです。

コミックスは今回、色味の再現でかなりてんやわんやがありまして、
最終的にこちらの目論見どおりの色になっているのか、
今日(2月20日)の時点で献本が届いていないので、わかりません。
静かな青味を表現したかったのですが、背景のオレンジに引っ張られて、
なおかつ黒ずんでしまって悩まされました。
綺麗に再現されていたらいいな。

ということで
明日の発売日には、連載の更新もされます。
コミックスの購入特典のカラー画をあれこれ描いていたら、すっかり時間を食われて
今月も頁数は少なめです…。ゴメンナサイ。
今回も背景とか頑張って描いています!
その連載の最後の頁をお借りして
コミックス上巻の描き下ろし特典の一覧を掲載させていただきます。(コレ↓)
Tokuten

カバー画を用いた特典を作られた書店さんもあるらしいのですが、
自分にはどこなのかの情報がないので、
描き下ろしをした書店さんのみのリストになってます。
丸善さんはお茶の水店のみに特典がつきます。
さらにモノクロのペーパー、そして直筆サイン本も並ぶ予定です。
サインといえば、
大洗の江口又新堂さんでもガルパン漫画の恒例らしいサイン会を行います。
3月14日土曜の午後から。
海楽フェスタの前日ですね。
執筆を助けていただいている才谷屋さんと合同です。
昨今のご時勢であれもこれも中止とかなんとかありますが、
自分が倒れてなければ、大洗には行きますので!
花粉症なのでマスクをしている非礼をお許しください。

地味なお話なので
読んでみたら「なんじゃこれ?」って人もいらっしゃるとは思います。
そのあたりは物語の後半で地味に盛り上げたいと思っています。

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2015年4月11日 (土)

ピクチャードラマなるものは

BDの特典情報が出てきたみたい。http://yamato2199.net/about/goods_a.html
ピクチャードラマは企画は製作委員会で、僕が依頼を受け、
ネタ出しから脚本、ラフ、絵コンテ、作画、選曲、演出補助までやったので大変だったよ!
郡司Pの希望やバンダイさんの要望を入れつつ7本ネタ出しして、6本ラフ、4本絵コンテ化、3本採用という流れ。
真面目なお話よりコミカルなものが採用率高し。

どうやら監督がBD版上映で20枚と言ってらしたようですが、絵は30枚以上描いてます。
彩色はアシさんたちに助けてもらいながらなんとかやり遂げました。
(というか、この特典の存在は監督にはなぜか教えないで動いていたらしいw)

音声の収録時にはキャストの声優さんに声を当てていただいて、感激。
桑島さんには、漫画の〆切が重なって、宮沢賢治の朗読会に行けなかった事とかお話しましたが、
田中さんには、「ストライクウィッチーズ」2期でミーナ隊長の勲章(パンツ)のデザインをしてました!
とは言えませんでした…orz

BDは販売元ごとに色々とオマケが付くけれど、この特典映像は
バンダイビジュアルの製造する初回限定生産BDの特典ディスクに含まれるので、
どこで買ってもこの初回限定版なら大丈夫。

ということで、連載漫画の〆切間近なのでこれにて!

[追記]
ピクチャードラマは
「映画では語られなかったキャラやエピソードを膨らませて描こう」という企図でスタートし、
僕はそこに本編の脈絡で説明を補足できるようなエピソードを
ドラマとして付加できないかという模索をしてみました。
製作委員会との意見交換をしたのちにこちらで提案したのは、前述のように7本。
 「謁見」
 「ピックニック」
 「蒼ざめし我が心に」
 「考察・沢村の穴」
 「聖アントニウスの誘惑」
 「錬金術」
 「会戦」
とそれぞれのセグメントに仮タイトルが与えられ、うち制作されたのは3本。
各エピソードは絵画的に異なる表現をしようというアイディアで、
線画の処理や彩色のタッチなどそれぞれ変えてあります。

ということで連載漫画に戻ります!はぅぅっ

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2014年4月22日 (火)

22日は色々と

前の日記の内容に触れて、ご心配いただいた励ましのメッセージをいただいたりしました。
ありがとうございます。
僕は背中を押していただいても
根本的に自分が嫌いで、自身への深い負い目と不信感を持っている人間なので、
それを努力の糧にもしたりしており、
周囲に恐縮しつつ、描き進めることは以前もこれからもそう変わりはしません。
ちやほやとした変な甘い夢に期待を持たないよう、
実直にかつ自分を厳しく戒めていこうということだけです。
ともあれ普通に元気にお仕事をしております。
仕上がったものが喜んでいただければ、それは変わらず何より幸せなことですし。

今日22日は色々とお仕事の動きがある日。
昨夜は池袋西武で開催される「ヤマト2199原画展」の内覧会にお邪魔してきた。
僕は報道プレス側の人間ではないので、
原画展にまつわるものの納品のためという理由が正確な事情。
展示内容はとても見応えがあった。
結城信輝にいちゃんの修正原画や玉盛さんのデザイン原図、
小林誠さんの美術設定などが額装されて並んでいる。
アニメを観ていていいなぁって思っていた絵が
殆ど結城さんの手によるものだったことが改めて分ったし、
動画になる前の生き生きした線は表情に富んでいて
線に勢いと意味が与えれている。
眼福だった。
玉盛さんのスケッチも設定資料集に収められていない、僕も初見のものが多く、
その線の意外なほどの力強さが素晴らしい。
流れというかラインやフォルムをどう意識していたかが伝わってくる。
ガミラス艦艇のデザインの緻密さも感慨深い。
(これを描くのかぁっていう意味でも)
模型誌に作例として掲載されたプラモデルも
モデラーさんの創意が加わった量感にあふれていて、カッコイイ。
700円という入場料はちっとも高くない内容だった。
さらに新調になった1/100ヤマトもお出迎え。
内覧会では除幕式まであった。
1/500を参考に造形されているので、ディティールも十分。
プロポーションも良い。
舐めるように眺めてきた。(周囲に笑われた)
原画の展示は、会場内だけでなく、
書店LIBROの4階のコミックコーナーにもあるらしい。
また2階には原画展とは別のヤマト物販コーナーが併設とのこと。
この情報の露出は少ないので、そちらもお忘れなく。
http://www.libro.jp/news/archive/004011.php

グッズコーナーもけっこう充実。
iPhoneの外装シールも並んでいた。
実際に貼って、待ち受け画面もDLしたものを見せてもらったが、
予想以上にかっこよかった。
バックライトで輝きながら、iPhoneの時計の表示が重なって、
すごく洗練された感じになっていて驚いた。
アイコンはコピーされやすいので、権利関係のクリアに手間がかかるゆえ
今回は断念したとのこと。
数枚、見本をいただいたのだけれど僕はガラケーなので、
ヤマトークの司会でもおなじみの小林治さんをお見かけしたゆえ、さしあげた。

僕が会場に赴いた理由の一つは、
オリジナルグッズとして販売される版画の見本にサインを施すため。
原画展の公式webにはまだ掲載されていない様子だけれど、
(そりゃ、先週の土曜に入稿したんだものw)
スターシャの絵を描いた。
27日にある井上喜久子さんの講演の背景に添えられるものがあればということもあり、
画題が決まったもの。
自分的には一枚絵として人様にご購入いただけるレベルには描けたかなと思う。

[部分]Stasha

イスカンダルの花を花冠の要領で編んだものをあしらったのだけれど、
クライアントからは花をスターシャの後ろに配置したほうが
身体のラインが見えていいと言われた。
僕は逆にそういう男性視点的ではなく、
かわいらしさも添えて女性にも素直にいいなと思ってもらえる絵にしたかったので
その意見は却下した。
価格は50000円で限定40部だそうだ。
この絵は版権画として買取りされる予定なので、売れても別に僕の印税にはならないw
でも他の重厚で大きな版画よりサイズも値段もお値打ちだとは思う。
加藤さんや麻宮さんの版画はかっこよかったな。
版画は今回の催しで売れ残れば、今後展開される地方でも開催で販売されるそうだ。
(開催は熊谷・大阪・名古屋・広島・福岡が既に決定)
サインをした版画の初号は少し彩度が高いかなと感じたので、
実際に購入者の手元に届く販売品は少しだけ色味を控えてもらおうと思う。

そして西武鉄道の記念切符。
今日の朝5時からの販売だけれど、
その彩色に用いた肉筆原画をやはり原画展で掲示していただけるとのことで
昨日納めた。
こちらはノートリミングなので、ハガキとはまた違った印象があるかも。
また原画展で掲示されている地球側のイラストでは、
沖田の右腕に血糊がついているのだけど、
特典ハガキではオミットしてある。
これは公共交通機関としての鉄道の特典で事故や怪我を連想させるものは
好ましくないかもと、僕のほうから意見具申して外してもらったものだ。
製作委員会も西武さんもさほど注視はしていなかったけれど、
僕の意見を酌んでくれた。
切符は通例だと2、3日で完売とのことなので、まだ買えると思う。
ちなみに、僕は見本をまだ貰っていませんw

内覧会のプレス向けセレモニーでは、
菅生さんや内田さんもいらしていたけれど、
挨拶はできなかった。(声優さんは憧れなのです。残念!)
セレモニー後の会場の再配置を手伝って、
そのまま案内をうけて、ヤマトコラボのビアガーデンで晩御飯。
モツ鍋とかお肉美味しかった。

そして今日はもう一つ。
KADOKAWAのCOMICKWALKERでヤマトの連載の更新日。
http://comic-walker.com/
午後には更新されるのではないかな。
メルダは男前に描いたつもり。
その物怖じしない真っ直ぐさが玲ちゃんを自然と追い詰めていく。
お話はEX178が沈むアニメ10話のラストまで。
今朝方このあとの連載2回分のプロットを書いたけれど、
そこまでがコミックス5巻に収められる。
表向き「メルダ編」で、実際は「玲ちゃん編」になるなぁという印象。
今日からシナリオにかかって、
28日のサイン会にはネームを手がけていないとまずいぞ!

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2013年12月14日 (土)

年の瀬へそして年明けへ

「宇宙戦艦ヤマト2199」コミックス4巻の原稿の手がようやく離れた。
ニコニコエースの月末更新の原稿にも更に手を入れ、丸ごとネームを変更して差し替えた頁すらある。
37頁のボリュームを仕上げた上にそれだから、かなり疲れた。
連載の頁数は概ね月産30枚程度。少ないという声も聞こえてくるけれど、
アシスタントを使わずに基本的に一人で絵を描いているので、
これでも相当頑張っているのだ。
なにとぞご理解をw

Yc04_142
玉盛さんのカバー画も素晴らしい仕上がりになって、見ているだけでドキドキする。
アイディアを交換しながら、イメージを重ね膨らませていく過程は
JAZZのセッションに近い感覚に満ちていて、互いが互いをイメージしながら響かせあう音のよう。
人と一緒に仕事をすることの醍醐味を感じさせてくれる。
指示待ちで、言われたことしかしない。解釈をしない。自分ならではの付加価値がない。
そういう仕事をする人を勤め人の頃に見てきたけれど、
プロフェッショナルとの仕事はそれと全然違うのだ。

今回の口絵の彩色は3巻にも手伝っていただいた米蔵さんにお願いした。
http://www.pixiv.net/member.php?id=14843
そこに僕が自分のイメージになるよう加筆をして完成。
彩色には個性があるのでちゃんと自分の絵にする工程を加えている。(下が僕の加筆版)
だけど米蔵さんも自信作と言っていたガミロイドの彩色は
確かに秀逸で、僕も手を入れなかった。
そこは彼の絵をそのまま感じて欲しい。

Yc03copy

今巻の見所は効果の素材に風変わりのものをあれこれ使ったこと。
霜降り牛肉、朝顔の花、絞り染めの模様、ひび割れた池底、錆びた鉄板。
それを探すのも楽しいかも。
恒星の表面の描写は、あびゅうきょ先生にお願いした。
これも手描きならではの表情があって素晴らしい。
あとはEXCELさんのリクエストに応えた、玲ちゃんの縞パンかなw
http://excel.zuya.jp/

4巻のコンプリートされた原稿を最初に読む読者でもある担当編集は、
「面白い」と大変褒めてくれた。
太陽赤道祭に多くの頁を割いているので、最初は不安だったらしいけれど、
読後感としてしっかりしたものを目指したのが功を奏したみたい。
太陽祭のシーンは、可能な限りロンド形式になるように脚本と演出を工夫したし、
3巻からの大きなプロット構成もリズムや韻を作れているのだと思う。
担当氏からは来年の劇場新作の公開も視野に入れながら、久々に勇ましい言葉が聞けた。
売れるもの、良いもの、それは僕と担当とは思惑が少し違うのだろうけれど、
そういう勢いで一緒に物を作っていこうって気概があるのは頼もしく、
またその違いがあるからこそ十全な構えで臨めると思う。
僕は自分の目指す良い漫画を描き続けることしか、することはないけれどw

編集部での会議で4巻の帯へコメントを誰かに頼もうって話が出て、
巻末のメカ関係の記事を担当しているライターさんが虚淵さんでどうよ!って言ったら、
めんどくさそーな顔を担当氏がしていて大笑い。
オイラは自民の石破さんか、民主の枝野さんとか言ったら却下されたw
(石破さんはヤマト好きだし、友人の故・中里融司さん原作のコミックにも言葉を寄せている)
(枝野さんは昔から仕事でお付き合いがあったし、社長時代は選挙地盤だったし、
漫画の表現規制に反対の立場で造詣が深い)
で、担当氏は石原慎太郎とか言うので弩却下!
結果、某アニメ監督さまからお言葉をいただけたようなので、
そちらが帯に載る予定。
4巻は来年1月25日発売予定。
ニコニコの掲載から加筆しているので、手にとって楽しんでいただけたら何より。

そして年内。
21日はお友達の多くが参加している「テングモデラーズ第2回作品展」を覗く予定。
http://www.3331.jp/schedule/002253.html
http://tengumodelers.blog.shinobi.jp/
https://twitter.com/search?q=%23TENGUmodelers
今回は「自動車」がテーマ。
会場は家から近いので出かけやすくていいなぁ。
僕は不器用でプラモとか作れないので、もう感動ばかりなのだ。
楽しみ。

そしてそして年末はコミックマーケット。
今回は原稿に追われてしまって、新刊を用意できない体たらく。
在庫を持っていこうと思っている。
昔作ったヤマトのイラスト同人誌も小部数ながらあったので、それも持って行きたい。
スペースは
二日目、30日月曜。東 B-40a
隣は友人の西川MASH伸司さんという奇遇。
あとは友人の作った砲弾ぬいぐるみも扱う予定。
http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51420097.html
あまりに巨大で、コミケの搬入数に限界があるので、
欲しい方は僕のブースもご利用を。
というかこれから砲弾に同梱の同人誌のイラスト描かないと!

同人誌と言えば、なんだか同人誌がらみの女性ヤマトファンの間で、
いざこざになっちゃってる人をけっこう見かける。
女性の間で贔屓やアプローチの違い、派閥や取り巻きで争ってるってのがあるようで、
自己の嗜好を正当化して、エゴを肥大させ、
女性同士だけでなく、男性の嗜好にも攻撃的になってたりしている様子。
個別化と共有の精神的バランス感覚がとれてないのではないかな。
心がしなやかじゃない。もっとおおらかに楽しめばいいのに。
ずっと一人でヤマトファンをやっていた僕に
たくさんの市井のファンを紹介してくれた細江由美子さんという女性がいました。
残念ながら11年5月に急逝され、2199を観ることは叶わなかったのですが、
ヤマトという作品のシリーズをどれもわけ隔てなく愛し、
ヤマトファンのどなたにも優しく温かく接するお母さんのような人でした。
(僕は彼女への感謝を込めて、コミックス1巻の登場キャラにお名前を拝借させていただいた)
嗜好の違いに害意敵意で臨むでなく、彼女の姿勢を見習うべきだと思う。

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2013年6月 9日 (日)

3巻は6月26日

編集部からオープンにして良いよということなので、
26日に発売になる予定の「宇宙戦艦ヤマト2199」コミックス第3巻について。

お話は時系列を組み替えながら、
ガミラス側に軸を置いて、「2199」で語られる星間戦争のバランスをとるのが僕の目論見。
漫画ではアニメのようなフットワークで両陣営を行き来してしまうと、
ドラマというか心理的な流れが寸断されてしまう感じがしてるので、
比較的ヤマト側のドラマ要素が少ない冥王星基地攻略編で、この試みをしてみた。
(実際そのために、勝手にガミラス側のお話や背景設定を作ったりしてしまった)Yc03_com114_2

時系列をいじると分りづらいという声も聞こえるけれど、
洋画や海外ドラマなどではごく普通にある主砲なので、お許しいただきたい。
構成を組み直すことで、心理的な流れの妙とか出てくると思うし、
そちらを楽しんで貰えたらなと願っている。
ということで、太陽祭を後ろにして、グリーゼ581の話まで入れて3巻を括りたかったのだけれど、
早くコミックスを発売したいという角川側の気持ちもあって、
冥王星基地陥落までとなっている。
なので連載5回分、少しボリュームが薄いのは残念。
あとお話がここで区切られてしまったので、連載ではさらに構成を変えて(戻して)、
太陽祭のお話から続くよう変更した。

本編は今回も連載時から殆どの頁に加筆修正の手を入れている。
厳しい日程の中で、なかなか十分に自分の思惑に沿った手が入ってない頁があったり、
デッサンの狂いや、演出的な表情の変更などもあるので。
(若干だけれど増頁もある)
なので連載で読んでいただいている読者の方々にも楽しみはあろうかと思うし、
一気に読むことで見えてくるものもあると考えるので。

今回も口絵は本編のモノクロ画稿から改めて彩色してある。
ただ、5月頭は連載と並行して雑誌表紙と単行本作業がある中で、
とても自分だけでは手が廻らなかったため、
カラー化に関しては親しい友人二人に手伝っていただいた。
2巻でお願いした日野カツヒコさんにも声がけはしたのだけれど、自身のお仕事の関係で叶わなかった。
冒頭のガイデロール級戦艦から、シュルツ居室のシーンの3頁は
野上武志さんのスタジオでアシスタント仲間だった米蔵さん。http://www.pixiv.net/member.php?id=14843
人物は個性が出るので僕が手を入れたけれど、
背景は彼の筆致のまま。

Yc03_com001
続くバレラスの総統府は、ヤマトの同人誌にも寄稿いただいていた
イラストレーターの時代ミツルさんの筆によるもの。http://tokishiro.sblo.jp/
普段は線画などないタッチの絵を描かれているのに、
わざわざ僕の線画を尊重しながら、凄く奥行きがあり、かつ華麗な情景を描いていただけた。
これは僕は一切加筆していない。
Yc03_com004
二人ともありがとうございました。
とても助かりました。

カバー画は引き続き玉盛さんにお願いした。
図案の決定までに出版社と色々議論はあったけれど、
最終的にはこちらの希望が叶ったものになった。凄く嬉しい。
コミックスは1巻から銀のインクをベースに敷いてそこに印刷をかけている。
今回の背景色は銀色に黄色55%を乗せて、擬似金色に仕立ててある。
この金色と第三艦橋の赤、帯の黒などをバランスしながら、
さながら金屏風のような雰囲気になればと願っている。
玉盛さんから、「ここは窓みたいに開くので」という提案もあり、目のように輝く緑も加わって、
ちょっと謎のロボ風にも見える趣が加わっている。
書影はニュータイプエース誌22号の表紙に載ってしまってるので、
Na0b32
Amazonでは一昨日くらいから、小さいけど表示されており、
既にお気づきの人もいるとは思うけれど、こんな感じに仕上がった。

Yamato2199_3cover3

Yamato2199_3cover2
カッコイイ!
玉盛さん最高。
新潟市での展示には玉盛さんの絵も当然ながら掲げられているのだけれど、
アイディアの推敲から、大きくプリントされた完成画を見ると、
描き手の気持ちがひしひし伝わってくる。
今回もそういう力に満ちてる。

以前にも触れたけれど、
僕はヤマトはみんなで作っているという意識が強い。
アニメのスタッフとして参加したことが起因しているのもあろうけれど、
出渕監督や玉盛さん、一緒にヤマトについて語り明かした仲間の存在が大きい。
だからカバー画しかり、口絵でもそう。
人と一緒に仕事してこの漫画を上梓できるのは、とても嬉しいのだ。
自分の作品なのだけれど、コミカライズゆえにもっと開かれた感じの存在感を意識してる。
製作委員会の方々も好意的だし、色々助けていただいてる。
コミカライズは友人達に聞くと組織との間の苦労が多いらしいのだけれど、
こと、描くことにおいては、ヤマトにそのストレスはない。
だから仕事は大変で、寝る間もあまりないけれど、描くのはいつだって楽しい。

コミックス発売の前というか、重なるように第6章の公開も控えている。
(というか角川が発売を重なるようにしたのね)
PVはドキドキしちゃうので、長尺版や冒頭8分は観てない。
僕は七色星団の模式図とか沖田艦長の海軍時計(クロノメーター)の設定をした程度で、
絵コンテも必要部分しか見てないため、楽しみで仕方がない。
だからあまり情報は入れたくないファン心理状態。
お話どうなっちゃうんだろう!
(相変わらず脚本を読んでない)

コミックスの特典は僕の聞いている限りでは
アニメイト、ゲーマーズ、コミックZIN、新潟市、そして丸善。
特典は角川の営業部門が管理しているので、漫画家が勝手に動けるわけではない。
営業を通じて書店の希望がきて、それを編集部が采配してる。
アニメイトは、描き下ろしで古代の絵の希望だったので、
古代と島の絵を描いた。人は二人いるとその関係性から絵にドラマが生まれるので良い。

02
ゲーマーズは、2話の森雪の扉絵を加筆修正して彩色。

Y02_01
ZINは、14話の玲ちゃんの扉絵をやはり加筆修正してから彩色。

Postcard_zin3cmyk
(3枚はそれぞれトリミングされたり背景色が変わる予定)
丸善はまだ企画書が届いていないので未対応。
編集部はNA誌の表紙画をと言っているけれど、
あそこはペーパーも併せているので、それは新規で描かないとならないかも。
新潟市は現在「2199」展を催していることもあり、
市内の主要書店での購入特典としてもらえるポストカードを求めてきていて、
編集部ではやはり雑誌表紙に使った絵を当てるつもりらしい。
自分的にはヤマトクルーでなにか特典でもと考えていたけれど、
特に先方からの声は伝わってきていないので、
今回は3巻は扱っても、特典は無いことになるかもしれない。

ということで特典イラストのため、今月も連載原稿の日程に圧迫が始まっている。
なので今号は少し頁数は減らしてもらうつもり。
なにせ30日には新潟市でトークイベントがあるし…orz
「マンガの家」での展示は6日からコミックス2巻の原稿に模様替えしている。
あびゅうきょ先生に描いていただいた、木星表面や恐竜さんぱお~んの原画は必見w
講演後の7月は3巻の原稿へと3回の展示替えがある。
さすがに3回目の展示は見られないかな。

コミックスの発売は26日予定だけれど、
印刷は月半ばには上がると思うので、
入荷次第早売りという書店もあろうかと思うのでご注意を。

[追記]6/22
ヤマトクルーは、何かカードの特典があるらしいです。
4巻が出るときは事務局と相談してなにかバリューの高い特典を付けたいなぁ。
丸善・お茶の水店は遅れましたが、NA誌22号の表紙画イラスト(上掲)のカードが特典になります。
30日の新潟は100人近い方の応募があったそうです。ありがとうございます。
当初予定していた「マンガの家」ではキャパが足りないので、
目と鼻の先の別会場へ移動して催すようです。
展示はコミックス発売に合わせて3巻のものに模様替えを早めてしてしまうそうです。
解説文は連載原稿があがったら書くつもりだったので、予定が狂った。
2巻の展示は30日限定で「アニメ情報館」で公開も検討中だそうな。
サイン会まで済んだら、その会場で17時より皆でTV放映13話を観ようという企画も進んでます。
フラーケンの回は僕もモニターデザインに参加してるので、面目がたちそうw

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2012年12月14日 (金)

ヤマト表紙解禁

編集部からまだ待っててと言われてたのだけど、
なぜかニュータイプエース誌にオープンになってるので、
僕が待ってる理由もないから
来月発売の「宇宙戦艦ヤマト2199」コミックス第2巻のカバー画を紹介。
玉盛さんの美麗なヤマトを堪能せよ!って感じであります。
Yamato2199_2cover_1204

僕の希望の「ゆきかぜ」の絵柄のカバーは何らかの形で展開するべく
目下色々と業者の間を取り持って画策中。
上手くいけば近日中にそちらもお知らせします。
(というか作者のオイラがどうして業者間のやりとりしなきゃならんのか)

発売日は当初1月10日発売の予定でしたが
別に原稿もおしてないし予定通りに進んでるのですが(年内には刷り上りそう)
営業上の戦略で1月12日売りになる か も と聴こえてきてます。
12日と言ったらヤマト2199第4章の公開日ではありませんか!
まぁ単行本を劇場で売るってことはないらしいのですが、
いろいろ事情があるそうで、
映画ともども愉しみにしていただければ幸甚です。

コミックZINさんと
御茶ノ水・丸善には
特典用のカラーイラストを描き下しました。(入稿済み)
興味があればどうぞ覗いてください。

で、もののついでですが
今月末のコミックマーケットにも出展します。
今度は初日ではなく、いつもどおりの創作の島でまったり3日目です。
31日月曜 西1ホール 「ほ-14a」です。
両隣はあびゅうきょ先生と西川伸司さんとお友達だから余計にまったり。
ウチは恐らくお客さんはあまりこないので、
暇な人はどうぞ覗いてやってください。
新刊はあります。
そのはずです。
そうです。今まさに書いているんですから!
今回は一人ヤマト本と言いますか、
連載漫画の2巻分の全部のネームを収録、
特典や雑誌用に描いたカラーイラストや、単行本未収録の扉絵も掲載という内容です。
表紙はコレ。

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ネームはこんな感じのものがどっさり。

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そこに僕の文章で解説が入ります。
全部で104頁のB5判。
値段は刷り部数が少ないのであまり安くはならないですが
1000円になるかならないかという感じです。
当日はいくつか委託の本も受けてますので
ぜひそれも眺めてくださいね。

コミケの追加情報が発生しましたら、また後日。
ということで同人誌の原稿に戻ります。
月曜までにあと75頁書かないとっ!

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2012年6月30日 (土)

ヤマト2199第2章とコミックス1巻

脱稿したので日記を。
今日はヤマト第2章の公開日。
原稿を描いていて試写会にはいけなかったけれど、これから初日に観てきます。
自分の関わったデザインがたくさんでるはずなので、緊張と期待がないまぜな感じです。
僕は紙ベースでデザインを提出していて、
それを撮影監督の青木さんのチームがCG素材に起こします。
アニメは組織での作業だから、ここで青木さんのアイディアや手が入って、
一層、洗練されたものに仕上がっていく。
こちらも勉強になるし、雪だるま式に良いものができる感覚は、楽しいです。

今月は単行本作業をしていたので、全体に日程が厳しかった。
なので来月号の掲載頁数を減らしてもらっていたのですが、
実質、半月もない中で描くのでやはり大変。
この第2章の冒頭9分がバンダイチャンネルでプレビューされていますが、
今回のオイラの漫画はその9分にも足りない部分を22頁使って描いてます。
アニメの3話はイベントのテンポを優先した組み方になっているので、
僕の方は、この後のドラマのための人間関係などを踏まえるような構成にしてあります。
ゆえにアニメより人間関係の方はテンポを上げてあるかも。

で、それはさておき、
25日発売の電撃ホビーマガジン誌にて
来月10日発売のコミックスの紹介がされているはず。
そこで初めてカバー画が公開になっていると思うのですが(本屋に行けてないので見てない)、
編集部からもこの日が解禁日ということなので控えていましたが、
blogでもやっと公開。
僕のコミックスのカバー画は僕が描いておりません。
ヤマト2199のメインメカデザインをしている玉盛さんに描いていただきました。
っていうかご本人は現在もアニメ本編のお仕事が
設定以外にもメカの描き込みとかレイアウトとか
色々続いている最中なのを、無理を言ってお願いした次第。
僕の思った以上に素敵なヤマトが仕上がって最高に嬉しいです。
肌色が乱舞するコミックの表紙にあって、メカだけですよ。
スターシアの顔を入れてという角川書店社長のリクエストを
僕と編集部がお断りし、
コレにしました。わっはっは。
(その代わり帯びは妥協した)
肌色用の蛍光ピンクインクを使用しない分(笑)、
編集部の提案で全体に銀引きをしましたので、鈍く光ります。
悪目立ちしてくれたらいいなと思っています。

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画像は実際のフィニッシュではなくて
仮レイアウトのものなので
実際はもうちょっとだけ変わります。
色味も少し修正しています。
続巻は今後もメカ表紙でいきますので、お楽しみに。
2巻は冬頃という予定ですが、
次は「ゆきかぜ」かな。

しかし、本当に漫画のこと以外に書くことがないなぁ。
朝から深夜までずっと描いているため、
他になにもしていないからなのだけど、
なんかまずい気がする。

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2012年2月29日 (水)

ヤマト抜錨

漫画・宇宙戦艦ヤマト2199の連載第1回が脱稿した。
去年は夏からこっち、ヤマトのアニメの設定をずっとお手伝いしていたので
久々に描いた漫画ゆえ反省点も多い。
自分の能力や稼働性のイメージや思惑と実態のズレから、工程に見誤りも多かった。
それで結果的にスケジュールがおしてしまう。
ネームとして、従来の自分から飛躍が足らず、
もうちょっと魅力的なシーンや構図が欲しいと思う。
アシスタントさんの使い方や作業システムも曖昧さがあった。

これまでの連載経験では
線画の作画は自分一人で背景まで全部こなして1日に4~5Pのペースだったけれど、
今回は前半に戦艦が頻出するため、1日3Pになってしまい、
1週間で7枚の目標進行との誤差が出た。
63Pなら2週間少々でできると踏んでいたが、3週間を費やしてしまう結果に。
友人の漫画家・松田未来さんからは「メカを甘く見ちゃいけない」って散々忠告されていたのに
僕ってバカ。
ネームは今回、頁5コマをMAXの基本に切ったりして
印刷時に縮小されても温度を下げないように努めたのだけど、
構図やテンポとして、今一つ自分の殻を壊しきれなかった。
カサハラテツローさんの「ザッドランナー」を読んでいると、
その構図の発想の柔らかさ、そこに込めるドラマの巧みさが羨ましい。
玉盛さんのレイアウトを見ると空間の広がりとかっこよさが光ってて参っちゃう。
この数年家にこもっての仕事ばかりなので、
何か大きなものを見たり、視点をあれこれ振り増しながら風景を眺めて
大きさや空間の感覚とか更新しないといけないなと思う。
野上武志さんのネームのリズム感もおさらいしたい。
逼迫する進行の中で、
お友達に一部の背景や戦闘機を描いてもらったものの、
リテイクを繰り返したりしても、
イメージの刷り合わせや、相手の作業やアウトプットにつき、僕の理解がなかなか適わず、
結局は殆ど自分で描いたり、ホワイトてんこもりで修正してしまった。
(オイラ何をやってるんだか…)
トーンワークなども今回からご近所様の友人の奥様にお手伝い願っているのだけど、
相手のスキルの把握や指示の与え方の感覚も人によって異なるし、
なにより作業工程と艦橋に関する感覚が違うから
いささか煩雑になり、動揺させてしまった。
有能な人で基本は大助かりであるがゆえ、
違和感や不安を減らしてあげて、力が発揮できるよう、
一定の筋道を通した作法を示せるよう確立していかないと。
キャラも結城にいちゃんの絵に似せきれず、結局、僕の絵になっちゃった。
というか、古代君あたりは絵コンテの出渕さんの絵に似ちゃったってのがトホホなオチに。
なんかロードス島とかルーンマスカーみたいな顔だよ。わはは…。

初回はインパクトをという編集部との企図から臨んだ63Pのボリュームは大変だったけど、
ともあれ、同時に反省点という収穫があった。
また、コミカライズの制作艦橋として僕が描きやすくなるよう、
製作委員会も好意的に動いてくださっていて、ありがたい限りだし、
丸善書店など漫画の書店員さんたちもNA誌とヤマトを推していってくれるとのこと。
(COMIC ZINさんもそんな気配)
アニメ制作のXEBECさんも設定でお世話になったから、とても友好的で協力的。
そうした良い話も多い。
僕も周囲のヤマトへの気持ちに応えていきたい。

僕の漫画は、基本はアニメの絵コンテには無い構図や絵で構成してる。
設定的に背景が絵コンテ合わせで1ショットしかないようなものは
どうしても同じようなレイアウトで描かざるを得ないこともあるけれど、
漫画版としての視点を大事に、漫画を読む楽しみのあるようにしている。
エピソードの構成や取捨選択も自分なりに工夫しているし、加えてもいる。
キャラの性格設計や人間関係も少し変えた視点でアプローチを試みている。
相変わらず、定規を殆ど使わないフリーハンドでメカも背景も描いてる。
砲門やレーダーの円ですら、グリグリと手描きだ。
その無骨さとか、線の温度とか伝わったらいいな。
描いていて思ったのは
ヤマト2199の漫画は僕しか描けないかもっていう感覚を持った。
自慢ではなくって、自分で描きたいヤマトの漫画の形とか理想像みたいなものを
自分でこうして描いていることで得られる心象なのだろう。
それは周囲からそう言われなくたっていい。
自分の中で十分。
それは漫画を描くモチベーションにつながる大切な気持ちの一つなんだから。

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で、それを20時半に納品して、
21時過ぎから催された「ヤマト2199」のマスコミ試写に潜り込んできた。
監督御自らお出迎えをされていて、びっくり。
4月から上映される仕様の1話2話を上映してくれた。
18日に読売ホールで催された試写イベントには、
漫画を描いてて参加できなかったのは残念でならないけど、
脱稿して、こうして観られて良かった。
スクリーンを見上げながら半べそかいてしまった。
最近はすっかりアニメっ子な僕だけれど、
昨今の作品にはまったくない、独特の温度を密度を持ったドエライ作品に仕上がっていた。
ガンダムとも違う。
僕らの世代向けとも違う。
深い所で何もかも腰の据わった、それこそ40年物の古酒のような
誰が呑んでも美味いって言える味わいがあると思う。
監督が口にする「最大公約数」って言葉に改めて合点がいった。
実は正直、キャラの作画などには不満がある。
(良い絵もあるけど)
でもアニメとしての底力が迫ってくる。
ドラマや構図だけでない、タイミングや動き、声や音楽、美術や撮影など
そうした総合力に圧倒される。
(遊星爆弾の落ちる赤い地球の外縁にある青い色彩と音の美しさは筆舌に尽くしがたい)
アニメってこういうものだよなって思う。
エンドロールに僕の名前もあって
小学生の頃に初回放映で虜になって本当に夢中になったあの艦に
まさか自分が乗艦するとはという気持ちになった。
船は人の世代を超えて存在するもの。
人の想いを乗せて次代へと継がれていくものなんだ。
この作品を観た人が、心に残る何か 気に入った何かがあったなら
いつかこの艦に乗ってもらいたいな。

で、今日はストライクウィッチーズの劇場配布されるイラスト集に収めるカラーを描く予定。
ヤマトが済んだら、おぱんつ様って なんてことー。

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2012年2月10日 (金)

宇宙戦艦ヤマト2199

僕の新連載のタイトルです。
そう、ヤマトです。
3月10日発売の角川書店「ニュータイプエース」誌にてスタートします。
2月発売号vol.6の誌面で情報解禁となり、
アニメの公式web等でも告知がされると思います。
初回は63頁というボリューム(なぜか奇数ページだ)。
現在、ネームにOKも出て、一人でこつこつ執筆の真っ最中です。

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思い返せば、
ヤマト好きが高じて
1999年にヤマト発進200年前記念に本を出そう!と僕は自身で企画を温めて、
幾人かの編集者、出版社にもちかけていたのが始まりのように感じます。
その頃の僕は編集者ではあっても業界機関誌が仕事で、一般誌は扱えていなかったので、
企画を持ち込むことしかできなかったのです。
結果はスタジオDNA(現・一迅社)から発刊された
「宇宙戦艦ヤマト-遥かなる星イスカンダル-コミックアンソロジー」がそれになります。
ただし、当時の社長(現・会長)の嘘と独走と策謀のため、
担当編集さえ知らないうちに物事が決められ、
僕に知らせられぬまま当初案とはまったく違った形にされてしまい、
自分としては無念ばかりが残りましたが、
そこに自分の描いた漫画だけは収まりました。
そのやり場のない気持ちが仲間を募ってアマチュアリズムとファンジンという形の同人誌で
発表を続けたりするきっかけになったのです。(これは4冊出ている)
http://www.mandarake.co.jp/zin/male/contents/yamato/index.html
この同人誌では本当にヤマトが大好きな人が集まり、
そこでは僕の想像以上の大きなものが
人のつながりとともに未来にむかって育まれたように感じています。
そんな折、ディアゴスティニのヤマトファイルの立ち上げに声がかかり、
無償で全50冊分の構成を作ったりしましたが、それも企画が頓挫。
そうしたら知らないうちに再開していて、なぜか蚊帳の外に。
数年前より出渕監督からちらちらとお話は聞いていた今回のアニメ作品「ヤマト2199」も
角川ではない出版社にてコミカライズの企画が起こり、
その執筆者の候補に指名いただいたものの、
それも昨年の春過ぎには凍結状態に。
(友人の井上純弌が僕が連載すると以前にTwitterでつぶやいたのはこちらの企画のこと)
つくづく自分には商業ベースでのヤマトに接する縁がないものだと思っていました。

「コミックフラッパー」誌での自作の連載も終了してふらふらしていた昨年夏に、
出渕監督から、助っ人として入ってくれとの依頼を受けて
「ヤマト2199」の設定のお手伝いをすることになったのは
以前の日記にも少し触れました。
アニメの仕事は初体験で最初は勝手がわからず戸惑いましたが、
自分の持てる能力のどこを活かせばよいのか、
そして着想のスタンスが明確になってからは
提出する設定にも筋が通ったものになったとは思います。
監督からも「助かってるよ」とのねぎらいをいただき、
その意味では、ヤマトの「仕事」で初めて良縁に恵まれた時間だったと思います。

角川での今回の新連載は
富士見書房「月刊コミックドラゴン」誌で連載を持っていたころに
お世話になった編集者さん(現在は角川のアニメ部門)からの連絡が最初でした。
僕がヤマト馬鹿の一人だって昔からよく知っている方で、
NA誌の編集長との会合をセッティングしてくれました。
自分の作品を示したり、いろんなことを話して、
そうして僕にお仕事をいただけることになりました。
アニメの設定に関しては今年1月頭まで提出物があったので、
漫画に専念できるようになったのは半ばからでありましたが、
こうしたこのタイミングで
「ヤマト2199」のコミカライズを担うことになったのは
自分にとってよかったと思っています。
それは出渕監督を筆頭に、
現場で作品を創るために尽力している多くの方々を知ることができたから。
その情熱や想いに触れることができたから。
メディアミックスは相補関係、相乗関係で事業規模を大きくしていく
商売の方法論である。
だけど僕にとっては違う意味もあるのです。
それは僕の描く作品で
「ヤマト2199」というアニメ作品とそれを作っている人たちの努力に
エールを送ることができるってこと。
自分のためではなく、誰かのためにというキッカケがあると僕は頑張れる性分で
とりわけ縁のある人たちがそこに思い描けるのなら、
いつもよりも力がみなぎります。
その意味で、特別なタイミングなのです。

僕の記憶に残るコミカライズ作品は
アニメをそのままなぞるではなく、漫画ならではの趣向が息づいています。
なので本作もそんな漫画になるよう
僕は自分の作品としての表現をここでしていこうと思っています。
それが同時にエールであり、スタッフへの讃辞であり、
そうした想いが結集する原典への敬意であるとも考えるので。

面白くなるよう努めていきますゆえ、どうぞ愉しみにしていてください。

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